球道雑記BACK NUMBER
新人で3位の5勝は挙げたが……。
ロッテ・関谷亮太はいつも崖っぷち。
posted2017/01/28 07:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
田中正義、佐々木千隼、柳裕也……今年も才能あふれる新人たちがプロ野球の門を叩いた。巷では、やれ15勝だ、やれ新人王だ、と威勢の良い声が次々とかかっているが、昨年(2016年シーズン)、5勝以上挙げたピッチャーはセ・リーグで38人、パ・リーグで36人しかいない。
こと新人となると、北海道日本ハムの加藤貴之(7勝)と埼玉西武の多和田真三郎(7勝)、そして千葉ロッテの関谷亮太(5勝)を含めた3人しかいなかった。プロの環境にまだ慣れない1年目という部分を考慮すれば、彼らは役目を十分に果たしたと言えるが、現実はそれほどにまで厳しい。
昨年5勝を挙げた1人、関谷亮太もこれから迎えるプロ2年目のシーズンに向けて、気持ちを新たにしている。
1年目は常に崖っぷちの不安感で投げていた。
昨年の暮れのこと。ロッテ浦和球場で、黒いサングラスにイヤフォンを耳に装着して無心で球場の内周をひた走る彼の姿があった。そこに2年目の覚悟を感じた。
昨シーズン投げた16試合は全て先発で、5勝6敗の成績。2016年5月21日のオリックス戦で初登板初先発初勝利を挙げると、そこから10試合はほぼ防御率3点台をキープ。それでも「いつ(二軍に)落とされるかわからない」という崖っぷちの不安感が常につきまとっていたと振り返る。
「打たれたあとの1週間は正直、精神的にきついものがありましたね。次も打たれたらどうしようとか、次もダメだったら二軍だなとか、そんな考えが頭をよぎる。上手く切り替えなければいけないんですけど、そういう意味で1週間の過ごし方を考える1年にはなりました」
8月20日の西武戦では、自身のフォームに違和感を覚えた。そこから5試合連続で5失点以上を喫し、それまでの投球とは一変。シーズン終了時の防御率は5.52まで落ちこんだ。
「疲れとか自覚症状は全然ありませんでした。シーズンが終わって、後々考えたらそういうところだったのかなと思ったくらいで……」