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マニー・ラミレスと高知の春。
寂しがり屋のトラブルメイカー。 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byAFLO

posted2017/01/21 07:00

マニー・ラミレスと高知の春。寂しがり屋のトラブルメイカー。<Number Web> photograph by AFLO

昨季限りで引退したレッドソックス時代の盟友オルティズ(左)の引退セレモニーに駆けつけるなど、マニー・ラミレス(中央)は情に厚い男でもある。

「失踪事件」ではグリーン・モンスター裏で用足し?

 もうひとつ有名なのは、'05年7月19日に起こった「失踪事件」だろう。フェンウェイ・パークで行われた対デヴィルレイズ戦で、レッドソックスが投手を交代させた際、ラミレスはグリーン・モンスターの扉から姿を消し、しばらく守備位置に戻ってこなかったのだ。左翼手がいなくては、ゲームは再開できない。幸い、ラミレスは何事もなかったかのように再登場した。人目につかないフェンスの裏で、用を足していたといわれる。

 逸話はまだある。'08年には左翼線のフライを捕球し、客席のファンとハイファイヴをしていた隙に、一塁走者の二進を許してしまった。'94年、あのO・J・シンプソンが、パトカーに追われて逃げまわっていたニュースを眼にしたときは、「オージェイが逃げてる」という同僚の声を聞き、チームメイトのチャド・オージェイがなにか悪事を働いたのかと勘違いしたそうだ。

禁止薬物で100試合の出場停止処分を受けたことも。

 とまあ、こんなわけで、逸話を聞いている限り、ラミレスはなかなか楽しい天然キャラと思えてくる。ただし、彼には禁止薬物のトラブルが付きまとう。'09年のドジャース時代には50試合出場停止処分を受けているし、'11年のレイズ時代には、やはり100試合の出場停止処分を受けた。時をさかのぼれば、'03年のレッドソックス時代にも薬物検査で陽性反応を示したことがあったようだ。この直後、レッドソックスは何度かラミレスのトレードを画策しはじめる。

 実際、ラミレスはトラブルメイカーだった。'04年には、64歳の球団職員ジャック・マコーミックを突き飛ばした過去があるし、'08年にはチームメイトのケヴィン・ユーキリスと激しい口論を演じている。

 こういった事情もあって、ラミレスが野球の殿堂入りを果たす可能性は限りなく低いと思われる。高知入りが決まった背景は正確には読み取れないが、寂しがりの性格だけに、なんらかの受け入れ先を求めていたのかもしれない。44歳とはいえ、過去に培われた打撃技術には素晴らしいものがあるだけに、周囲への影響力は大きい。短気や癇癪を起こすことなく、「楽しいマニー」として晩年をまっとうしてもらいたいものだ。

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