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「鈴木一朗」も過ごした寮の移転。
オリックスと神戸、1・17からの未来。

posted2017/01/20 07:00

 
「鈴木一朗」も過ごした寮の移転。オリックスと神戸、1・17からの未来。<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

1・17から22年。当時を知る福良監督と田口二軍監督、そして選手たちは決意を新たにした。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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Noriko Yonemushi

 神戸市西区にあるオリックス・バファローズの選手寮兼室内練習場「青濤館」。まもなく、その25年の歴史に幕が下ろされる。

 1991年8月に西宮から現在の場所に移転し、それ以来、イチロー(マーリンズ)や田口壮二軍監督といったメジャーリーガーをはじめ、数多くの名選手が青濤館から巣立っていった。福良淳一監督が、「イチローは夜中の3時まで打ってたぞ。お前らはどうだ?」と若手選手にハッパをかけるように、寮に隣接する室内練習場でイチローが練習に明け暮れていたことは語りぐさになっている。

 しかし今年3月、オリックスは選手寮や練習施設、ファーム本拠地を、大阪市の舞洲地区に移転する。

 1月7日~9日、神戸・青濤館の最後の入寮者たちがやってきた。2月のキャンプ後は神戸に戻ることなく舞洲の新しい寮に移るため、神戸はひと月足らずの仮住まいだが、ドラフト4位の山本由伸は、「すごい人たちが過ごした今の寮と新しい寮の両方を経験できるのはうれしい」と初々しく語った。

青濤館には今でも「鈴木一朗」のネームプレートが。

 イチローがオリックス時代に過ごした406号室は今も空き部屋で、「鈴木一朗」のネームプレートがそのまま残されており、それを発見した新人選手たちは興奮を隠せなかった。

 ドラフト3位の岡崎大輔は、「イチローさんも生活していたこの寮には思い入れが強くて、早く行ってみたいなと思っていました。『鈴木一朗』と書いてあるのを見て鳥肌が立ちました。イチローさんにぜひお会いして、お話を聞いてみたいです」と意欲満々だ。

 ドラフト1位の山岡泰輔も、「カタカナの“イチロー”という名前しか見たことがなかったので、“鈴木一朗”というプレートを見た時、一瞬『誰の部屋だろう?』と思いました(苦笑)。でもすぐに、『あ、そうだ。うわー!』って、新鮮な驚きでした」と目を輝かせた。

「将来、『あの寮に最後に入った年の選手はよかったよね』と言われるような選手になりたいですね」と開幕ローテーション入りが期待される21歳は意気込む。

【次ページ】 「隣のパン屋からいいにおいが漂ってきて……」

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