プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア6強の“前半戦通信簿”。
チェルシーに次ぐ高評価はどこ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2017/01/09 08:00
プレミア初参戦のグアルディオラと、2年目のクロップ。彼らに限らず6強の直接対決ではテクニカルエリアでの心理戦も見逃せない。
懸念点は先発の固定化も、セスクがここに来て復調。
懸念点は皆無ではない。先発はほぼ固定で、有事の際にカウンターを仕掛けられる代役は不在だ。もっとも、コンテが「そう簡単には負けないというメッセージをライバル勢に発信した」と語った第18節ボーンマス戦では、コスタとエンゴロ・カンテが警告累積で不在だったが3-0で快勝した。
先発したセスク・ファブレガスは「3バックは前方へのパスの選択肢が増えるから自分向き」と、ネマニャ・マティッチを交えた中盤センターのポジション争いに意欲的だ。そしてカンテが戻ってもスタメンを維持したセスクは、年末のストーク戦で2アシスト。チームの一体感と競争意識もプレミア随一だと言える。
前半戦46ゴールのリバプールは「4」の高評価。
チェルシーの最大のライバルと見られるのはリバプール。就任2年目のユルゲン・クロップを前半戦の最優秀監督と評しても良い。6ポイント差の2位で19試合を消化したチームの評価も上々の「4」といったところか。
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どのようなシステムでも、指揮官の信条である激しさを体現する「クロップのリバプール」になっている。フィリペ・コウチーニョとロベルト・フィルミーノの両ブラジル人や、7ゴール7アシストを挙げたアダム・ララーナら攻撃陣は、相手ボールになった際も能動的。第19節マンC戦も、指揮官が意図する戦いを実践した。
後半戦を戦い抜く上での不安は守備面か。第20節では降格候補のサンダーランドに、いずれもPKだが2得点を許し、ドローに終わった。ならば守護神のセーブに期待できれば良いが、新GKに迎えたはずのロリス・カリウスから、昨季までの正守護神シモン・ミノレへの“Uターン”を余儀なくされている状態だ。
それでも、前半戦での46得点は20チーム中最多の数字であるのは確か。その攻撃志向を貫けば、イングランド国民の「第2の贔屓」と言われるクラブだけに、17年ぶりのリーグ優勝に向けて全国レベルの後押しも得られることだろう。