スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
青学・一色恭志、悲願は「区間賞」。
1年生から走り続け、最後の箱根へ。
posted2016/12/29 11:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
4年間、取材を続けてきた選手が順調に成長していく様子を見るのは、なんともうれしいものだ。
取材対象には公平に接するのが鉄則とはいえ、どこかで思い入れが生じているものだ。
青山学院大の一色恭志には何度も話を聞いてきたが、いつも落ちついていて、走るのが大好きな青年、という印象がある。
ADVERTISEMENT
それに走りっぷりがいい。練習でロードを走ると、一色の足音だけが違った。「バシッ、バシッ」と地面を叩いたような音がして、すぐに分かるのだ。
練習しても故障しないし、タフな選手でもある。そんな一色でも、2016年の東京マラソンを走り終えたときは、立てないほど疲れていたのも記憶している。
大スターになるために1つだけ勲章が足りない。
これまで数々の実績を残してきたが、主だったものを挙げてみよう。
・2015年日本学生ハーフマラソン優勝
・2015年ユニバーシアード ハーフマラソン銀メダル
・2016年東京マラソン 2時間11分45秒 日本人3位 総合11位
・2016年関東インカレ 2部5000m 優勝
・2016年日本選手権 5000m 4位
今回、箱根を走る4年生のなかでも、「世代最強」と言われるのは当然の結果だろう。
「マラソンとトラックの両方で結果を残しているのは、一色だけなんです。箱根駅伝では、瀬古利彦さん以来の大スターでしょうね」
と、青学大の原晋監督もその実力について太鼓判を押している。
しかし、大スターになるための要件として、ひとつだけ勲章が欠けている。
一色は大学4年間、駅伝ではまだ一度も区間賞がないのだ。