スポーツ百珍BACK NUMBER
市立船橋の武器は高校生らしくなさ。
選手が自ら布陣を変える成熟度。
posted2016/12/30 08:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
NIKE
「自分たちの強みは、安定して試合を進められることだと思っています」
「いろんなパターン、相手を想定してやっています」
「状況においての柔軟性、対応力が強みだと思います」
こう自分たちのストロングポイントを語ったのは、円熟期を迎えた20代後半のプロサッカー選手ではない。まだ10代、そしてこれから全国高校サッカー選手権に臨もうとしている市立船橋(千葉)サッカー部の選手たちだ。
安定感、柔軟性、対応力。サッカーを戦う上では不可欠なものであることは間違いない。ただ、その表現を高校生から聞くのが新鮮だった。
今年度「夏冬2冠」への挑戦権を持つ唯一のチーム。
大人のチームだな。
育成年代のサッカーを何試合か取材する機会があった中で、市船に対して感じたイメージだった。
今夏行われた高校総体では3年ぶり9回目の優勝、高円宮杯プレミアEASTでは3位。そして高校選手権千葉予選の決勝では、インターハイ決勝でも戦った流通経済大柏を2-1で下し、2年連続21回目の出場権、そして「夏冬2冠」への挑戦権を獲得した。
今季の実績を記すだけでも、市船が選手権の優勝候補に挙げられるのも自然に感じる。
その上で、優勝候補という立場で見られることを、本人たちはどう感じているのだろうか――。
選手権開幕が迫る12月下旬、市船のトレーニングを取材し、来季からのJリーグ入団が内定している杉岡大暉(→湘南)、原輝綺(→新潟)、高宇洋(→G大阪)の3人にインタビューする機会があった。