ベテランを頼るのではなく、突き上げていく存在に。

　森の発言を秋山に伝えると「栗山（巧）さん、中村（剛也）さんというベテランがいて、まだまだ引っ張ってもらっている」と前置きをした上で、こう語った。

「ここ数年はライオンズも若い選手が試合に出るようになってきています。彼らが活躍するためには、もっと会話を交わして、一丸とならないといけないと思うし、そうやって僕を含めた若い選手たちが、ベテランを頼るのではなく、突き上げていくような存在にならないとチームは勝てないと思う。そういう意味では、今シーズンはいろいろとチーム全体について思うことはありましたね」

言葉にすると、若手だけでなく自分も引き締まる。

　盗塁王を獲得した金子侑司に対しても、毎試合前、声をかけた。「秋山さんの言葉のおかげで力むことなく試合に臨めた」と金子はあとになって語っている。'12年から5シーズン連続で主将は栗山が務めているが、チームにとってよかれと思うことを、自ら進んで行動する選手は多いに越したことはない。

「今シーズン、痛感したのは、簡単には1点は取れない、簡単にはヒットは打てないということでした。一、三塁になれば内野ゴロで点が入るし、となると次のバッターの心理状況も変わってくる。とにかく食らいついてバットにボールを当てれば、1点につながるという感覚で打席に入れるのは大きいと思うんです。そういう意味では、ひとつでも先の塁をねらっていくというのは、自分自身が常に心掛けていることなので」

　言葉にすれば、それだけ責任も生まれる。

「そうやって若い選手たちに言うことで、また、自分も気を引き締めることができるし、見られているという意識を持って野球に取り組めます。いずれ、その積み重ねが“チームを引っ張る”という姿につながればいい」

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