フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
SP自己ベスト更新の宇野昌磨。
世界王者に迫る内容でファイナル決定!
posted2016/11/09 07:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
11月4日からモスクワで開催されたロステレコム杯で、宇野昌磨が2位に入賞。スケートアメリカの優勝(15ポイント)とこの2位(13ポイント)で総合28ポイントを獲得し、早々と12月にフランスのマルセイユで開催されるGPファイナルへの進出を決めた。
宇野のSPはナイジェル・ヘス作曲『バイオリンと管弦楽のためのファンタジー』。映画『ラベンダーの咲く庭で』のサントラで、衣装もきれいなラベンダー色のシャツで登場した。冒頭の4フリップでは軽く右手をついたが耐え、続いた4トウループ+3トウループの最後ではフリーレッグを早目についた。だが落ち着いた表情を崩すことなく、ゆったりとしたバイオリンの音色を表現。最後のスプレッドイーグルから入る3アクセルはきれいに決めた。
自己ベストスコア更新で100点超えも視野に。
98.59という新自己ベストの数字が出ると、宇野も隣に座っていた樋口美穂子コーチも、「えっ!」と驚いた表情を見せた。
ジャンプは完璧ではなかったとはいえ、全てのスピンコンビネーション、ステップでレベル4を獲得。体全体を大きく使った音楽表現、丁寧な滑りなどが評価されたのだろう。宇野がこのプログラムでジャンプを完璧に決めたなら、100点超えも十分にあり得るというジャッジからのメッセージに違いない。
2個目の4回転を3回転にしてしまったハビエル・フェルナンデスに7点差をつけて、宇野はSPトップに立った。
フリーは2度目の4トウループ転倒が唯一のミス
フリー、アストル・ピアソラのタンゴメドレーでは、穏やかな表情だったSPとはうって変わった、凛とした強い意志を感じさせる表情で氷の上に立った。
やはり4フリップから演技を開始。4トウループ、3ループとひとつひとつ丁寧にジャンプを着氷していった。2度目の4トウループで転倒したが、スケートアメリカで失敗した3アクセル+1ループ+3フリップはしっかり降りて加点もついた。
フリー186.48は、2週間前にスケートアメリカで出した190.19には及ばなかったものの、5コンポーネンツはほとんど9点台が並んでわずかだがスケートアメリカで出した点よりも進歩している。