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2016年ドラ1候補は田中正義ら8名。
外れ1位を取るなら投手よりも野手? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/10/17 11:00

2016年ドラ1候補は田中正義ら8名。外れ1位を取るなら投手よりも野手?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

右肩の不安を報じられている田中だが、1位指名は確実だろう。むしろスカウトと球団の力量は田中の“外れ1位”に見えるのかもしれない。

ある球団スカウトは「2000%の選手」と田中を絶賛。

 3人以外でもセよりパのほうが有力選手に向かうことが多いのは間違いなく、今年なら「その年ナンバーワンの選手」は田中で、その田中にはパの球団のほうが多く獲得に向かうと思う。

 セの各球団は田中の肩不安発生に、獲りにいかない口実ができたとホッとしているのではないか。セは1位選手の競合を嫌い、パは有力選手を“金の卵”としてリーグ総掛かりで獲得に向かう、というのは歴史的事実である。

 田中の評価は特Aで一致している。私の中では'98年の巨人1位(逆指名)上原浩治(大阪体育大・投手)以来の即戦力候補で、ある強豪球団のスカウトは9月の段階で田中を「2000パーセントの選手」と評価した。肩の不安は大きな問題ではないと思う。春先の人気が飛び抜けていたためその反動が大きかったということだろう。

「高校ビッグ4」筆頭格は今井、東京ガスの山岡も。

 高校球界に目を向けると、甲子園の優勝投手、今井達也(作新学院)という人気と実力を兼ね備えた1位候補がいる。大会前に高橋昂也(花咲徳栄)、藤平尚真(横浜)、寺島成輝(履正社)を「高校ビッグ3」と命名したため、最も活躍した今井の行き場所がなくなり、マスコミは仕方なく「高校ビッグ4」という冠を今井に被せたが、完成度、スケールの大きさとも今井が飛び抜けている。

 夏の甲子園期間中連載していたNumber本誌には「(ストレートは)速くて、ボリュームがあって打者近くでの伸びが失われないという超高校級の球質で、カットボールと見紛うようなスライダーは、大阪桐蔭時代の藤浪晋太郎(阪神)を彷彿とさせる」と書いた。

 田中は肩の違和感発生まで人気を独占してきたため逆風によるマイナス方向への針の振り幅が大きく、今井は評価が定まった後の登場のため、実力を正しく評価されていないきらいがある。甲子園大会、台湾で行われたU-18アジア選手権で大活躍した堀瑞輝(広島新庄)も“遅れてきた青年”の1人で、「上位候補」と言われても「1位候補」と言われることが少ない。

 ドラフトまで残り数日だが、私は「ドラフト1位候補」とはっきり言おうと思う。ここまで紹介した7人に、社会人ナンバーワンの山岡泰輔(東京ガス)を交えた8人が、私が考える1位入札の有力候補である。

【次ページ】 8人を外したとしても……外れ1位候補14人を紹介!

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