Number ExBACK NUMBER
「外面は菩薩、内面は夜叉」
日本ハム・栗山英樹の監督哲学とは。
posted2016/10/13 11:45
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Nanae Suzuki
大谷の二刀流が冴え、中田翔も本塁打……と、栗山英樹監督の采配は見事でした。
今季、怒涛の追い上げで優勝を成し遂げた、この知将の監督哲学を検証する――。
「よく言うじゃない、『外面は菩薩、内面は夜叉』って。選手はあの外面に騙されてナメた真似したら大変だぞ。栗山は本当に周りをよく見ているから。表立って怒ることはないかもしれないけど、采配とか起用法に表れてくるよ」
ファイターズの栗山英樹監督についてそう語るのは、元スワローズ監督の関根潤三氏。1987年から3シーズンにわたって監督と選手の間柄だったが、当時から栗山という選手には内に秘めた凄みを感じていたという。
「表面的にはナヨナヨして見えるんだけど、いい度胸してるんだ。監督やコーチと接するときの態度もそうだし、試合に突然使ってもビクビクしたところを見せない。内心は緊張してるのかもしれないけど、プレーが硬くならないんだ。逆のヤツはいっぱいいるけど、これは珍しいと思った。したたかというか、したたかさすら見せないところが曲者だよ」
『北の国から2016伝説~誰も諦めなかった』
そんな栗山監督は今季、ファイターズを就任初年度の'12年以来となる2度目のリーグ優勝に導いた。しかも、一時は11.5ゲーム差もつけられたホークスを追い上げての大逆転劇。指揮官は優勝を決めた9月28日のライオンズ戦のあと、このドラマを『北の国から2016伝説~誰も諦めなかった』と自ら命名する。
振り返れば、本家「北の国から」に匹敵するくらいさまざまな波乱が起こったシーズンだった。
3月25日の開幕戦では、2年連続で大谷翔平を開幕投手に指名。しかし、初回に一挙3点を失って黒星スタートとなる。大谷は4月に4登板するも、勝ち星はなし。前年に投手三冠に輝いたエースの躓きは、不穏な1年の幕開けを象徴していた。