マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト直前、スカウトが語る悩み。
腕の見せ場は4~5位の「井端や赤星」。
posted2016/10/13 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Naoya Sanuki
ドラフト本番10日前。
8日(土)から10日(月)の連休3日間、各地の球場ではスカウトたちの表情が一段と真剣味を増したように見えた。
8日には、ここに来て1位重複も見えてきた桜美林大・佐々木千隼投手が、今年7完封目をリーグの王者・東海大相手に果たしてさらに評価を上げると、10日には田中正義投手との2本柱で創価大を支える池田隆英投手が杏林大を7回コールド無失点に抑え、持ち味の速球もコンスタントに140キロ後半をマーク。共に、1位候補としての評価を上げた。
20日のドラフト会議を控えて、今週、来週は各球団とも最終の「スカウト会議」が開かれる。
この時期、公式戦が行われるのは大学野球だけだ。それだけに、この時期の活躍は印象が強烈で、直接ドラフト会議の順位に関わってくる。
担当地区の候補選手について、挙げるか消すかの決断、そして他球団の指名情報の収集。ドラフト本番まで、スカウトたちに気の休まる時はない。
ドラフト直前の心境をスカウトに聞いてみた。
そんな中、ドラフト10日前のスカウトたちの心境、感慨について、現場の球場のスタンドで聞いてみた。
「迷うんですよ、この時期は……」
すぐに返ってきた。
「ものすごく迷います。この選手はだいじょうぶ、こいつはいける! 9月までは決めてるんです、自分の中で。それが10月になって、ドラフトがだんだん近づいてくるに従って、自分にも選手にも疑いを持つようになる。たとえば、いいキャッチャーだな、と思って最終のリストまで残しておいた選手を、これが最後だと思って見に行った試合で、ズボンのポケットにしょっちゅう右手を突っ込んでるんで、あいつ手の平に汗かく体質なんとちがうか……みたいにね」
何度も何度も見たはずなのに、最後の最後で、とても困った“特徴”が見えてしまったり。