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最後に決める「本田△」はどこへ……。
本当にイラク戦の出来に納得なのか。

posted2016/10/07 11:40

 
最後に決める「本田△」はどこへ……。本当にイラク戦の出来に納得なのか。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今季本田圭佑がミランでリーグ戦のピッチに立ったのは2試合で、どちらもラスト10分前後での途中出場だった。

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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Takuya Sugiyama

 強くて、貪欲で、持ってる。

 だから、本田圭佑は南アフリカW杯以来、ずっと日本代表の中心であり続けた。相手に背後から厳しくプレッシャーをかけられても、体の強さと技術を活かしてボールをキープし、味方が攻め上がるための時間と空間を生み出す。決してスピードはないが、貪欲に得点を狙う姿勢を示し続け、実際に大事な試合になればなるほど、貴重なゴールを決めてきた。

 その実力と勝負強さを何度も見てきたからこそ、10月6日のイラク戦での姿は、ショックだった。

 弱くて、遅くて、持ってない。

 26分の先制シーンこそ清武弘嗣との連係でゴールに絡んだものの、それ以外の場面では相手に体をぶつけられてはバランスを崩した。ボールが足につかず、速い縦パスとなると、トラップすらままならない。前半終了間際には敵陣のペナルティーエリア内で長谷部誠のパスを収められず自身の手に当て、55分にはゴール前で清武からのパスをトラップミスし、チャンスをフイにした。

体が重くてもここぞで決めるのが本田だったが……。

 試合勘の鈍り。これが、イラク戦での不調の大きな要因だったことは間違いない。所属するミランで開幕から出場機会を与えられず、実戦でのボールタッチの感覚やプレー判断に狂いが生じたことは容易に想像できる。試合2日前のチーム合流となったことで、コンディションが悪いのも明らかだった。

 ただし、所属クラブで試合に出られない状況での代表合流は、CSKAモスクワ時代にも、昨季のミランでも経験してきたはずだ。これまでのW杯予選でも明らかに体が重そうに見える試合は何度もあった。それでも、本田は本田であり続けてきた。ほとんどの時間帯で消えていても、ここぞの場面ではゴールを決める。それが「本田△」だった。

【次ページ】 なぜ本田は自身のパフォーマンスに及第点を与えたのか。

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