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ボールを持ったら大迫勇也を探せ。
「2トップなら絶対負けない」FWに。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byAFLO

posted2016/10/03 18:00

ボールを持ったら大迫勇也を探せ。「2トップなら絶対負けない」FWに。<Number Web> photograph by AFLO

ポストプレーと得点力を兼ね備える万能性はそのままに、大迫勇也のスケールは着実に大きくなっている。

ボールを持った選手が、いつも大迫を探している。

 バイエルン戦では数が限られたものの、ライプツィヒ戦では、受けて、出して、ターンしてという連動が何度も見られ、パスを出したあとDFを引き付けて味方のパスコースを作り、その直後の縦パスに反応するなど、クレバーかつ機敏な動きも多かった。ボールを持った選手が、いつも大迫を探している様子がとても印象的だった。

「2トップになって、今はFWとして見てもらえていることが大きい」

 大迫は、自身の現状をそう語った。

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 チームが1トップを採用していた昨季、大迫は左アウトサイドやトップ下で25試合に出場したが、評価はそこまで高くなかった。実際、サイドで大迫の強みが生きるケースは少ない。彼は中央に立ってこそ生きる選手なのだ。

 それはシーズン途中に移籍し、15試合出場6得点を決めて「9番と10番の仕事ができる」と評価された1860ミュンヘン在籍時もそうだったし、鹿島アントラーズ時代も動きなおしの質の高さで、ボールを引き出し、チャンスメイクし、自ら得点を決める選手だった。

「2トップでやるんだったら、絶対に負けない」

 力を買われ、'14-'15シーズン、1部に昇格したケルンに加入し、28試合3得点。しかしチームはその後1トップに変わり、大迫の立場も微妙なものになったのだ。

 彼の言葉を借りれば、昨季は「FWとして見てもらえなかった」。苦しい状況をどんな想いで過ごしていたのだろうか? バイエルン戦後に聞いた。

「去年は1トップでずっとやっていたから、そこはちょっと自分として難しい部分はあった。でも2トップでやるんだったら、絶対に負けないと思っている。なかなか試合に出られなくて苦しいときも、絶対にいいことがあると思って、我慢しました。このブンデスリーガで本当に活躍したい、結果を出したいということ、それしか考えていなかった。

 もっとここで目立つプレーヤーになりたいし、そうなれるという自信はありました。自分のいい感じの流れに持っていければ、絶対にうまくいくと思っている。今シーズンもまだまだこれから、始まったばっかりなので」

 自分の武器を認めてもらいたい。その気持ちが指揮官にも伝わったのだろう。

「監督からの信頼は強く感じています。いつも前向きな言葉をかけてくれるし、“お前の好きなようにすればいい”と言ってくれる。その信頼や期待にもっと応えたいですね」

【次ページ】 当初、大迫のドイツ移籍は代表を意識してのものだった。

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