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ボールを持ったら大迫勇也を探せ。
「2トップなら絶対負けない」FWに。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byAFLO

posted2016/10/03 18:00

ボールを持ったら大迫勇也を探せ。「2トップなら絶対負けない」FWに。<Number Web> photograph by AFLO

ポストプレーと得点力を兼ね備える万能性はそのままに、大迫勇也のスケールは着実に大きくなっている。

大迫勇也、ただいま絶好調。

 苦しむ日本人FWが多いなかで、爆発的な活躍を見せているのがFCケルンの大迫勇也だ。開幕戦こそ途中出場だったものの第2節から5試合連続で先発出場し、第4節、第5節で連続得点。負け無しで4位に位置するチームを文字通りけん引している。

 前線でくさびのパスを受けて、リンクマンとしてゲームを動かす。第5節のライプツィヒ戦で決めたゴールは、右足でトラップし、左足で仕留めた。大迫の高い技術をドイツメディアも絶賛している。

 10月1日、敵地ミュンヘンで行われたれ第6節バイエルン・ミュンヘン戦でも、3本のシュートを放っている。1本はGKにキャッチされ、CKからのヘディングシュートはわずかに枠を外れた。そして、素早い飛び出しからのシュートはゴールネットを揺らしたがオフサイド。ケルンの総シュート数が5本だったことを考えると、ケルンの大迫からは点取り屋としての風格が漂っている。

 バイエルンのこの日のシュートは27本。ポゼッションでも大きくケルンを上回ったが、試合は1-1のドロー。絶対王者に先制点を許したものの、ケルンは動じることがなかった。立ち上がりは受け身になってしまったが、時間経過とともに落ち着きが増し、同点に追いついたあとも慌てなかった。2トップの大迫とモデストがパスを引き出し、それをさばく。前線でボールが収まることもまたケルンの安定感を生んだ。

フンメルスやシャビ・アロンソを背負って。

 バイエルンのセンターバックはフンメルスとハビエル・マルティネス、そしてボランチはシャビ・アロンソ。そういう選手を背負いながら、大迫はほとんどミスのないプレーを披露した。

「落ち着いてできている。力が入っていなくて。力みなくできているので、それが一番じゃないですかね。(バイエルン相手でも)気負うことはまったくなかった。それじゃあ意味がないし。チャレンジすること、ゴールに向かっていくことが一番大事だと思うから。それしか考えていなかった。でもやっぱり、シュートは決めたかったですね。ヘディングもあったし。オフサイドになったプレーも、飛び出すタイミングをもう少し我慢できれば良かった。もっと頭をクリアにしておけば大丈夫だったのに。ちょっとあのときはいっぱいいっぱいになってしまった」

 そのオフサイドのシーンだが、前線で楔のパスをうけて、中盤に蹴り返したボールのリターンを要求する。しかし大迫の希望に反して横パスが出た瞬間には、今度は裏を狙い縦へと動き出している。その切り替えの速さも、大迫の武器だ。

【次ページ】 ボールを持った選手が、いつも大迫を探している。

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