Jをめぐる冒険BACK NUMBER
J1“裏天王山”制した福岡・井原監督。
「トップ下・三門」は残留への切り札。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/09/22 08:00
監督としてはJ1初挑戦となった井原監督。自らを支える福岡サポーターのためにも残留を信じ続けて戦う。
昨季まで横浜FMでレギュラーも、今季は出番が急減。
流通経済大から'09年にアルビレックス新潟に加入した三門は、ボランチを中心にサイドバックでもプレーし、'13年にはゲームキャプテンも務めた。'14年には横浜F・マリノスに移籍し、2年目の昨季はレギュラーとして32試合に出場している。ところが今季は出場機会がめっきりと減り、ファーストステージは3試合の出場にとどまった。
そんなときに声をかけてくれたのが、井原監督であり、新潟時代のスカウトだった鈴木健仁統括部長だったという。
「マリノスで'15年にあれだけ出たのに、今年に入ってなかなか試合に出られず、外されるときも監督から何もなく、僕としては非常に寂しい気持ちが正直、あって……。そういうなかで、福岡が僕の力が必要だと言ってくれたので、非常に嬉しかったですし、必ず残留させるんだっていう強い気持ちで来たんです」
捨てる神あれば、拾う神あり――。こうしてセカンドステージから福岡に加わった三門は、ダイナミズムを備えたバランサーとしてここまで全試合で先発している。
ピッチ上でマイナスのことが起こらなくなった。
「ミカさんが来て、チームはガラッと変わったと思います」
そう明かしたのは、古巣との対戦で平井のゴールをアシストした亀川だ。リオ五輪に出場した若き左サイドバックは、三門加入の効果についてさらに続ける。
「ピッチの中で一番戦っていると思うし、途中から入ったミカさんが頑張っているので、元々いた僕らがそれ以上にやらないといけないっていう気持ちにさせられている。ミカさんが入ってチームは確実に上向いているし、ピッチ上でマイナスのことが起こらなくなったと思います」
夏に獲得したのは三門だけではない。FC東京から期限付き移籍で加入した元ワールドカップ戦士の駒野友一も、右サイドバックとしてチームに経験と安定を与えている。
金森や亀川、為田大貴といったリオ五輪世代の若者たちや、U-19日本代表の17歳、冨安健洋が躍動できるのも、こうした経験者たちのバックアップがあるからだろう。