リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
今度はレアルとアトレティコが標的!
FIFAの補強禁止令でジダンの息子は?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2016/09/16 17:00
ジダンの長男エンソは、21歳にしてレアルのトップチームデビューも果たしている。スペイン代表に参加する可能性も残っているが……。
レアルは「違反は一切ない」と強気のスタンス。
「今年1月、FIFA自身が全員の状況を正常化して試合出場も許可してくれたのに、ペナルティはそのままか」と口をとがらせるのは183人中50人がいまも在籍するアトレティコの関係者だ。
片やレアルは「違反は一切ない」というスタンスで、FIFAの決定は「全く不当であり、制裁の最も基本的な法則に反している」と非難する。たとえばベネズエラの2人はFIFAの登録不許可を受けて早々に退団させているし、モロッコ人は'89年から父が住むスペインで'98年に生まれているし、ジダン一家も彼がマドリーに移籍した'01年以降、揃ってスペインで暮らしてきた。もっともジダンの転居理由に焦点を絞り、屁理屈をこねれば、18歳未満の国際移籍が認められる例外――当該選手の両親が加入先となるクラブのある国へ、サッカーとは関係のない理由で転居するとき――に彼の息子たちは当てはまらないといえるだろうが。
問題の焦点の「国際移籍証明書」とは?
しかしFIFAも、恣意的にアトレティコとレアルの両者を罰することにしたわけではない。違反が疑われる移籍を正当化するのに十分な資料が提出されなかったケースがいくつかあった上、両クラブの選手登録の不備をFIFAは掴んでいると『エル・パイス』紙は報じている。
アトレティコにもレアルにも、選手提供で提携関係にあるクラブがいくつもあるため、まずはそちらでマドリー自治州サッカー協会の仮ライセンスを取って地域リーグに出られるようにし、見込みのありそうな選手を呼び戻したり吸い上げたりすることがよくある。
その後、成長した選手は全国リーグでプレーするわけだが、その段階になると国際移籍証明書を要する登録が必須となるので、発行申請の手続きをとる。すると当該選手は国際移籍証明書なしの仮ライセンスだけで試合に出ていたことが、マッチングシステムによって発覚するという。FIFAは、'15年以降は10歳から、それ以前は12歳から国際移籍証明書の提出を各クラブに義務付けている。