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今度はレアルとアトレティコが標的!
FIFAの補強禁止令でジダンの息子は?
posted2016/09/16 17:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
'15年5月に筆者は、アトレティコ・マドリーとレアル・マドリーに対してFIFAが「近々」補強禁止令、正確には新戦力の登録禁止令を下すというコラムを書いた。理由は18歳未満の国際移籍に関するルール違反で、禁止期間は「連続する2度の登録期」。一昨年のバルサの二の舞である。
実際にFIFAの規律委員会からクラブに通達があったのは'16年の1月半ばだったので(FIFAの汚職事件のせいで遅れた)、補強禁止は1年遅れの今年夏から始まるはずだったが、くだんの稿に記したとおり、両者が直ちにFIFAの上訴委員会に不服を申し立てたため、執行は一時停止された。
しかし去る9月8日、上訴委員会は両クラブの言い分を正式に却下し、当初の罰をそのまま科すことを発表した。
FIFAが調査対象としたのは、アトレティコの場合'09年から'14年の間に入団した183人で、そのうち最終的にクロと判断されたのは退団済みの中国人(16歳で入団)と、Bチームのセネガル人(14歳で入団)のケースだ。
一方、レアルで調べられたのは'09年から'13年までに入団した39人だけだが、違反認定はずっと多くて8人。スペイン生まれのルーマニア人(13歳で入団)とベネズエラ国籍の2人(12歳と14歳で入団)はすでに退団しているが、16歳のときアヤックスからやってきたオランダ人は現在ユースチームに所属し、8歳で入団したモロッコ人は順調にステップアップして今季Bチームに登録されている。
さらにこの夏バレンシアの一員となった元レアルのCBガライの弟で、10歳のときからカンテラに籍を置くユースチームのアルゼンチン人もアウトとされ、Bチームにいるフランス生まれの2人――8歳と6歳で入団したジダンの長男と次男についても違反があったとされた。
個別に何の違反かは公開されていないが。
FIFAによると、両クラブが遵守しなかったのは「選手の移籍と地位に関する規定」の第5条、第9条、第19条、第19条その2、付属書2、付属書3のいずれか。
それぞれ「登録」、「国際移籍証明書」、「18歳未満の保護」、「アカデミーにいる18歳未満の登録と報告」、「18歳未満の国際移籍と初めての登録申請手順」、「移籍マッチングシステム」のルールを定めたものであり、具体的に誰のケースがどれにあたるかを両クラブは明らかにしていないが、レアルもアトレティコも強い不満を抱いているのは間違いない。