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J・アルトゥーベとC・シーガー。
メジャーのMVP争い、本命と穴馬。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2016/09/03 07:00
メジャーの現役選手で最も身長が低い167cmのアルトゥーベ。2014年には、イチロー以来となる、首位打者&盗塁王&最多安打の“3冠”に輝いている。
若き安打製造器には3000本安打の可能性も。
いまの調子で行くと、アルトゥーベは今季で3年連続200本安打の大台を突破することになる。
イチローの残した「10年連続200本」を更新するのは至難の業だろうが、もし40歳前後までプレーできれば、3000本安打の達成は現実味を帯びる。トラウトやベッツ、あるいはブライス・ハーパー、ザンダー・ボガーツ、スターリン・カストロなど20代の有望選手は少なくないが、安打製造能力ではいまのところアルトゥーベが一番のようだ。私情を交えていうと、今季のア・リーグMVPは彼に獲得してもらいたい。
ナ・リーグMVPはドジャースの新人が猛追。
一方、ナ・リーグのMVP争いは、カブスの両雄クリス・ブライアントとアンソニー・リゾが優位に立っている。順当に行けばブライアントの受賞だろうが、ここへ来てとんでもない穴馬が素晴らしい脚色(あしいろ)で迫ってきた。
ドジャースの新人コーリー・シーガーである。
シーガーは開幕前から新人王の本命と予想されていたが、開幕から2カ月はそこそこの成績しか残せなかった。4月4日から5月31日までのスタッツを見ると、52試合に出場して、209打数58安打、9本塁打。悪くはないが、OPS=.807はちょっと寂しい。
ところが、6月中旬から、猛烈な追い上げがはじまった。
6月16日から7月6日までは、先発した19試合すべてで安打を記録。その間の打率が3割9分2厘で、OPSが1.094。7月15日のオールスター明けから8月28日までのデータを見ても、36試合に出て、152打数。7安打、6本塁打と勢いが止まらない。この間の打率は3割7分5厘で、OPSが1.016。
シーズン全体を通しても安打数(162本)がナ・リーグ1位で、WAR(5.6)がリーグ2位、打率(3割2分1厘)がリーグ3位。