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J・アルトゥーベとC・シーガー。
メジャーのMVP争い、本命と穴馬。

posted2016/09/03 07:00

 
J・アルトゥーベとC・シーガー。メジャーのMVP争い、本命と穴馬。<Number Web> photograph by Getty Images

メジャーの現役選手で最も身長が低い167cmのアルトゥーベ。2014年には、イチロー以来となる、首位打者&盗塁王&最多安打の“3冠”に輝いている。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 9月に入ると、大リーグもそろそろ終盤にさしかかる。ただ、ペナントの行方はまだまだわからないし、ワイルドカード争いも最後の最後までもつれそうだ。個人タイトルも接戦がつづく。

 とくに今季は、個人タイトル争いが興味深い。大きく伸びた選手、新たに名乗りを挙げた選手が何人かいるからだ。

 ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ/二塁手)、コーリー・シーガー(ドジャース/遊撃手)、ムーキー・ベッツ(レッドソックス/外野手)、ダニー・ダフィ(ロイヤルズ/投手)といった面々を思い浮かべていただきたい。

 紙幅の関係もあるので、ここではアルトゥーベとシーガーに話を絞ろう。

ア・リーグMVPはアルトゥーベが最有力か。

 アルトゥーベは、マイク・トラウトらとア・リーグのMVP争いを演じている。

 打率(8月28日現在、3割5分5厘)と安打数(182本)ではアルトゥーベがリーグトップを走り、出塁率とWARではトラウトが1位(4割3分1厘と8.4)に立っている。彼ら以外では、古豪デヴィッド・オルティースが長打率とOPSでトップ、大器ムーキー・ベッツが総塁打数でリーグをリードしている。

 ただアルトゥーベは、いま挙げた各部門でまんべんなく上位に顔を出す。出塁率と総塁打数が2位、WARと長打率とOPSが3位。一方のトラウトは、OPSこそ4位にとどまっているものの、守備や走塁面での貢献が大きい。穴馬ベッツが、ラスト1カ月で驚異の追い込みを見せないとは限らないが、今季は「アルトゥーベの年」という感じがする。

イチローに次ぐ速さで1000本安打を達成。

 アルトゥーベは、8月16日に通算1000本安打を達成した。デビュー以来786試合での達成は、ア・リーグではイチローの696試合に次ぐ史上2番目の速さだ(20世紀以降のナ・リーグでは、チャック・クラインの683試合が最短。19世紀のウィリー・キーラーは、正確な数字こそ残っていないものの、685試合で1147本を打っているため、もっと短い)。

 到達時の年齢も、特筆すべき若さだ。

 1990年5月6日生まれのアルトゥーベは、26歳と102日で大台に乗せた。3000本安打を達成した選手に限っていうと、アルトゥーベよりも若い年齢で1000本安打に到達した選手は、タイ・カッブやハンク・アーロン、あるいはA・ロッドやデレク・ジーターなど9人しかいない(史上最も若かったのは、タイ・カッブの24歳と145日)。

【次ページ】 若き安打製造器には3000本安打の可能性も。

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