“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
絶対王者・東福岡に揃った才能たち。
1校から4選手がJ入りの可能性も!?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/07/27 11:00
前列左から青木駿(MF)、鍬先祐弥(MF)、福田湧矢(MF)、藤川虎太朗(MF)、高江麗央(MF)、後列左から児玉慎太郎(DF)、藤井一輝(FW)、中村駿(DF)、小田逸稀(DF)、三郎丸瑞基(DF)、前島正弥(GK)。
「強烈な能力を持った個がいるだけでは優勝できない」
「ベースは去年のチームと考えていますが、選手一人一人の能力もまだ足りないので、まずはそれを向上させて行く。その中で伸びて来た選手をどう組み合わせて行くかを考えないといけない。まだまだ課題だらけですよ」
春先に森重潤也監督に話を聞いた時、選手たちに全くと言っていいほど満足していない様子だった。だが、インターハイ連覇、選手権制覇を達成したことで、森重監督もチーム作りの新たな道筋が見えてきているようだ。
「強烈な能力を持った個がいるから優勝出来るかというと、決してそうではない。個の能力が高い選手だからこそ、チームプレーを学ばないといけない。チームの中で、方向性をぶれさせずに、どうやって自分のストロングポイントを発揮出来るか。周りも特定の個の力に頼ってしまっては、その選手が崩れた瞬間に、チーム全体が崩れてしまう。そういうチームは絶対に勝てないし、優勝なんて無理。どういうチームが優勝するのかをしっかりと整理して、また1年間トップを狙えるチームを作りたい」(森重監督)
シーズンが開幕し、これまで以上にマークをされる存在となったが、試合をこなすごとに個々のレベル、チームとしてのレベルが向上していった。前述した4人が中心であることに間違いは無いが、決して彼らだけのチームではなくなった。それが今年の東福岡の最大の強みであることは間違いない。
“赤い彗星”は今年も激しく燃え上がるか!?
「先輩達があんなとんでもない結果を残してくれた。当然、プレッシャーはあるけど、全国どこを見渡しても、(インターハイ)3連覇や(選手権)2連覇に挑める権利を持っているのは僕たちだけなので、モチベーションは物凄く高いです」(高江)
限られた者にしか与えられない偉業への挑戦権。その重みは十分に理解をしている。一方で千載一遇のチャンスであることも……。
全国54校によって敷かれた包囲網を突破するべく、まずは昌平(埼玉)vs.中津東(大分)の勝者との初戦に向けて、“赤い彗星”(東福岡の異名)は熱く燃え上がりながら、関門海峡を越えて広島の地に乗り込んで来る――。