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巨人、巻き返しの中心は小林誠司。
高橋監督、エースが語る「成長」とは。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/07/22 11:30
盗塁阻止率が3割を超える強肩には定評がある小林誠司。リードに加え打撃も向上し、着々と地固めは進んでいる。
辛口の高橋監督から出た小林評は?
その小林が左肩を骨折したのが、6月16日の楽天との交流戦だった。チームは小林を欠いた13試合で5勝8敗と負け越したが、再び戦線復帰した7月8日のDeNA戦からオールスターを挟んだ20日の阪神戦までの8試合は7勝1敗のハイペースで、首位・広島追撃の一番手に名乗りを上げた。
この間に小林は、7月10日のDeNA戦での同点3ランや18日の阪神戦でメッセンジャーから同点の口火となる三塁打を放つなど、バットでもチームの勝利に貢献。7月20日現在で規定打席不足の打率2割9厘ながら、得点圏打率2割5分とチャンスの場面の方が安打の確率が上がる「意外性」の打撃も捨て難い魅力になってきている。
「まだまだ不満はいっぱいありますよ」
小林に関して聞いたときに、指揮官はこう言って首を振った。
「頑張っていると言えるほどではないです。ただ本人なりに必死にやっているし、頑張っていないとは言わないですけどね」
選手を手放しではなかなか褒めない、辛口で鳴る高橋監督のこの言葉には、小林への高い評価と正捕手への期待が込められていることが伝わってくる。
巻き返しの中心は投手陣、そしてそれを支える小林。
“神ってる”赤ヘル軍団の背中は遠い。
ただ、菅野を軸に昨年のチーム最多勝投手のマイルズ・マイコラス投手が復活し、ベテランの内海哲也投手がローテーションを支えられるようになってきた。また昨年10月の股関節手術から復帰を目指す杉内俊哉投手も7月19日の三軍戦で実戦復帰を果たし、勝負どころの8月から9月に一軍復帰の可能性も見えてきている。
巨人の後半戦、巻き返しはこの投手陣にかかっている。
そしてその投手陣を支える捕手・小林の存在こそが、実は巨人逆襲の陰のカギであることは間違いない。