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「東京五輪でメダル」は絵空事か。
男子バレーの強化が今夏もなし!?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2016/07/01 11:00
五輪最終予選で、日本男子は2勝5敗、8チーム中7位という厳しい現実を突きつけられた。立ち止まっている時間はない。
「国内で質のいい練習」には限界がある。
2014年に就任した南部監督は、それまでほとんどなかった海外遠征を行ったが、それでもすべてが希望通りではなく、まだまだ足りないと嘆いていた。
リオ五輪世界最終予選の最終日、選手たちは口々に海外に出る必要性を口にした。
23歳の柳田将洋は、「僕自身、昨年たくさん海外遠征を経験したり、ワールドカップや今回の五輪最終予選の舞台に立たせてもらうことで、海外に対する壁というのがかなり壊せてきた。経験すればするほど、そういった自信がついてくると思う。海外との対戦が、これからの選手層の厚みを出すには必要不可欠な要素だと思います」と語った。
'09年から代表でプレーしてきたベテランの米山裕太は、「僕らはリオに向けての結果を出せなかったので、責任は100%僕たちにあるんですけど」と前置きをした上でこう訴えた。
「日本でやっていたら、日本人だけの高さに慣れてしまう。日本でどれだけ質のいい練習をしていても、対世界となった時には高さもパワーも違うし、サーブの威力も違う。そういう海外との経験がスタンダードになる環境を作っていかないと厳しい。ロンドン五輪の頃と同じ根本的な問題が解決できていないと思います。現場と協会でうまく強化をやっていければ、必ず道は開けていくと思うんですが」
「東京五輪でメダル」は絵空事にしか聞こえない。
なかなか変わらない日本の強化体制を見てきたベテランたちの言葉には、危機感ともどかしさがにじんだ。
今変わらなくて、いつ変わるのか。しかし肝心の強化を仕切る協会は、この期に及んでまだ危機感を持てないようだ。
「東京五輪でメダルを」
そんな目標はただの絵空事にしか聞こえない。