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「東京五輪でメダル」は絵空事か。
男子バレーの強化が今夏もなし!?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2016/07/01 11:00
五輪最終予選で、日本男子は2勝5敗、8チーム中7位という厳しい現実を突きつけられた。立ち止まっている時間はない。
同じ時期に強化を続けたイランは今回五輪出場。
一方、日本と同じくロンドン五輪出場を逃したイランは、そこで強化をやめなかった。当時指揮をとっていたジュリオ・ベラスコ監督のもと、五輪予選後の夏場は長期の国外遠征を行い、徹底的にチームのレベルを引き上げた。
その年9月、日本はイランとワールドリーグ予選を戦ったのだが、日本はイランへ出国するわずか1週間ほど前に集合して試合に臨み、2試合で1セットも奪えない完敗だった。
強化の手を休めることなく毎年着々と力を積み上げたイランは、4年後の今年、リオ五輪世界最終予選で2位となり、初の五輪出場を決めた。7位に終わった日本とは対照的な結果となった。
最終予選で世界との差を思い知らされた日本に、強化を休んでいる暇などないのは当然なのに、今回もまた同じ過ちをおかそうとしている。
欧州遠征、強豪クラブとの練習試合など方法はある。
五輪に出場するチームは、4年に一度の大舞台に向けてここから最後の詰めに入り、五輪本番では死に物狂いの戦いを繰り広げる。そこでしか得られない経験を手に入れたチームと日本の差はただでさえ開くだろう。
それでも、五輪に出られなくとも4年前のイランのように強化はできる。例えばヨーロッパに遠征すれば、セルビアなど、五輪に出られなくても力のあるチームはゴロゴロあるし、イタリア・セリエAのチームと練習試合を組むなど、日本ではなかなか体験できない高いブロックや威力のあるサーブを数多く経験する方法はある。なぜそれをしないのか。
もちろん費用はかかるが、昨年のワールドカップの途中から男子の試合会場は満員となり、今年のリオ五輪予選も全日程満員。6月17~19日に大阪で行われたワールドリーグも土日の2日間はほぼ満員だった。それらの収益を強化に当てればいい。
女子の場合は、男性コーチや現役の男子選手を合宿に呼んで、仮想外国人選手として対策をとることができるが、男子が外国人選手に慣れるには海外に出るしかない。もう何年も前から言われていることなのに、日本協会はまだその必要性の切実さを理解していないのだろうか。