サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「遠藤航の相方選び」は大島僚太!
代表発表前最終戦で見せた存在感。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byShidu Murai
posted2016/06/30 11:20
キャプテンマークを巻いて、遠藤のいないチームを操った大島僚太。当落線上だった時期は完全に脱したといえる。
何もできなかった五輪最終予選。
最終予選では、大島は準々決勝のイラン戦は3-0になった延長後半8分に投入され、出場権がかかる準決勝のイラク戦は出場機会がなかった。決勝の韓国戦は0-2になった後半15分に交代している。リオ五輪の出場権を得たのはうれしいが個人的には悔しさが残り、「何もしていない」と自虐的に語る姿が痛々しかった。
5月のガーナ戦、トゥーロン国際大会でも思うような結果を得られず、自分のプレーもできなかった。
一方、ライバルたちも停滞していた。
最終予選で活躍した原川はケガで川崎で出場機会を失い、井手口陽介や喜田拓也もトゥーロンで十分にアピールすることができなかった。
遠藤のパートナーは誰になるのか。
最後の選考レースとなった南アフリカ戦、大島はまるで川崎でプレーしているように積極的に攻撃に絡んだ。
「個人的には前でなるべく攻撃参加することは意識していました。自分たちが流動的に動くとマークが剥がれて、そこで正確につなぐことができたので、こういう結果になったと思うけど、できれば失点をゼロに抑えたかったです。
ただ、失点しても崩れなかったのは良かった。植田(直通)が『うしろは任せてくれればいいから、どんどん前から点を取りにいこう』って声をかけてくれたので、そこで点を取りにいく感じになりました」
「翔哉に点を取ってほしかったので」
点を取るために、大島は自らDF陣の背後を狙った。スカウティングでDFのうしろに走り込むとチャンスになるというのが分かっていたからだ。その大島の裏取りから同点ゴールが生まれた。
「あれは、慎也(矢島)がタイミングよく出してくれたし、DFの裏に抜けた後、翔哉(中島)の姿が見えたので自分が打たなくても入る方を選べばいいかなって思った。翔哉がケガしていましたし、戻ってきて点を取ってほしかったので」
仲間を思いやる気持ち、そして自分がチームを勝たせるのではなく、チームの勝利のために黒子になる大島らしいプレーだった。