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盤石なのはフランスとイングランド。
EURO最新チーム状況を整理する。
posted2016/06/10 07:00
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph by
PanoramiC/AFLO
EURO2016の火蓋が切られるまで残すところ1日を切った。開催国のフランスを筆頭に、現世界王者のドイツ、前回王者のスペインが頭ひとつ抜けた存在と目される今大会は、進境著しいヤングタレントを数多く擁するイングランド、ベルギー、ポルトガルなども頂点を狙える実力を備えており、優勝候補を一つに絞り込むのは容易ではない。
英『BBC』が6月7日に公開した優勝予想を引用すれば、元フランス代表のアンリは「フランス」、元イングランド代表のワドルは「スペイン」、同マーフィーは「ベルギー」、元ウェールズ代表のハートソンは「ドイツ」と答えている。エキスパートの意見がこれだけ割れるのも珍しい。
絶対的な本命がいわば不在のコンペティションを展望するために、出場24カ国の最新のチーム状態を整理しておきたい。
下馬評揺るがぬフランスと、期待膨らむイングランド。
開幕直前のチーム状態 ◎(ほぼ盤石)
フランス、イングランド、ウクライナ、トルコ
隙らしい隙が見当たらないのがフランスだ。エース格のグリエスマンをベンチスタートさせた開幕前最後のテストマッチでは、スコットランドにわずか2本のシュートしか許さず、ホームで3-0の完勝を収めた。個人技とコンビネーションを織り交ぜた多彩な攻撃は、あらゆる堅牢な防御をこじ開ける完成度を誇っている。
頼もしい存在となっているのは4-3-3システムの1トップを担うジルーだ。直近2試合で3ゴールと目に見える結果を残し、チームメイトへの恐喝の疑いで招集外となったベンゼマの穴を埋めてみせた。万全の態勢で開幕を控えるフランスの優勝候補という下馬評は揺らがない。
そのホストカントリーを昨年11月に破ったイングランドの状態も悪くない。5~6月の親善試合でプレミア得点王のケイン、岡崎慎司の同僚であるバーディー、重鎮ルーニー、新鋭ラッシュフォードとFW陣が軒並みゴールを挙げただけでなく、GKハート、CBケーヒル、アンカーのダイアーが中心となる守備もまずまず安定。アリやスターリングなど若きチャンスメーカーも機能しており、国民の期待は膨らんでいる。
従来の4-3-3かルーニーをトップ下気味に配す4-3-1-2か、その選択を含めたホジソン監督の采配が初優勝に向けた鍵となる。順調に勝ち上がれば、フランスとは決勝まで当たらない。