サッカーの尻尾BACK NUMBER
スペイン唯一の問題はFWの“二択”。
ビジャ&トーレスの後継は現れるか。
posted2016/06/10 17:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
AFLO
ユーロ3連覇を狙うスペイン代表は前回までとは違い、圧倒的な優勝候補という立場にはない。
2年前にワールドカップを制したドイツと、地元開催のフランスの次というのが、各国を俯瞰した場合の妥当な立ち位置だろう。
現ユーロ王者ではあるが、彼らは久しぶりに追う立場、となるわけだ。
この感覚は実に久しぶりだ。
まだ何も獲得していなかった2008年のユーロ開幕前、くらいの新鮮さかもしれない。ユーロ2008以降、スペインは試合を支配し、魅力的なサッカーで圧倒して勝つのが当たり前とまで思われていた。前回のユーロ決勝もそうだった。実際にスペインは、イタリアを大差で破り、連覇を飾っている。
今回もスペインが有力な優勝候補の一角であることは変わらないが、注目度、そして重圧が減っているのは間違いないだろう。
最終ライン、中盤は盤石のメンバー。
当然、個々のレベルを見ていくと、今も欧州トップクラスである。ゴールマウスには伸び盛りのデヘアに経験のカシージャスがいる。センターバックにはセルヒオ・ラモスとピケ、サイドバックも充実している。激選区の中盤からセカンドトップにかけては、イスコとサウールという期待の選手も外れ、マタやカソルラも競争に勝てなかったほどだ。
チームの全体像を見ていくと、やはりポイントになるのは最前線、特にセンターフォワードだろう。
大会直前のデルボスケの練習や親善試合での選手組み合わせを見ていると、指揮官もそこを最重視しているように見える。
0-1で敗れた直前の親善試合を見ても、最終ラインはある程度固定されていて(フアンフラン、ピケ、セルヒオ・ラモス、ジョルディ・アルバ)、中盤の3枠のうち2枠もブスケッツとイニエスタで確定。
左サイドで好調のノリート、イニエスタと共にチャンスメイクの中心的存在となるシルバが前線のサイドでは有力だ。