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バーディー+ケイン+ルーニー=?
EUROで復権の気配漂うイングランド。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/06/09 07:00

バーディー+ケイン+ルーニー=?EUROで復権の気配漂うイングランド。<Number Web> photograph by AFLO

バーディー、ケインという新星2人を支える仕事でも、ルーニーにならば安心して任せられる。

ケインとバーディーが同時起用される可能性は高い。

 25得点で個人タイトルを手にしたケインは、トッテナムの若きエースとして2年連続の20点台。「本物」であることを証明し、代表でも、予選開始前に候補と目されたダニエル・スタリッジを抜いて新エースと位置付けられるべき存在だ。

 24得点のバーディーは、トッテナムとの優勝争いを制したレスターの主砲としてケイン以上に乗っている。スピードとスタミナを持ち合わせるストライカーは、当初予想された「スーパーサブ」役ではもったいないと考えられるようになった。

 指揮官もCF2名の起用自体は意識しているようだ。5月後半からのテストマッチ3試合でも、うち2試合で2トップが採用された。但し、だからといってルーニーが先発を外れるということにはならない。

 ホジソンは自らが認めたキーマンへの信頼が人一倍厚い監督だ。否定的な見方をする向きには「ベンチを命じる勇気がない」と言われてしまうのだが、今回もフランス入りを前にした会見の席で質問がルーニーの起用法に及ぶと、報道陣に言い聞かせるような調子で「彼は(代表戦)111試合に出場して52得点を上げている選手。全ポジションが彼のプレーするべきベスト・ポジションのようなものだ」と発言して、不動のスタメン扱いを示唆している。

 実際、先発での3者そろい踏みが初めて試された6月2日のポルトガル戦(1-0)で、ルーニーはケインとバーディーの背後でスタメンに名を連ねた。

ルーニーはFWでもトップ下でもない。

 ルーニーの先発そのものには、筆者も賛成だ。国産随一のレベルにあるテクニックは加齢に伴う衰えとは無縁。プレミアを代表する「ビッグネーム」の1人であり、マンチェスター・ユナイテッドと代表の双方でキャプテンを務めるルーニーがピッチにいるのといないのとでは、対戦相手がイングランドに抱く警戒心や恐怖心の度合いも変わってくるに違いない。

 だがトップ下での先発には、アリから最適と思われるポジションを奪ってしまうという理由で賛成しかねる。筆者は、「エキサイティング」な新生イングランドの象徴として、2トップ候補のケインとバーディーよりも、18歳でFW5名の1枠に選ばれたマーカス・ラッシュフォードよりも、アリの名を挙げたい。

【次ページ】 ルーニーが中央にいると2トップも働けない。

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