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バーディー+ケイン+ルーニー=?
EUROで復権の気配漂うイングランド。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/06/09 07:00

バーディー+ケイン+ルーニー=?EUROで復権の気配漂うイングランド。<Number Web> photograph by AFLO

バーディー、ケインという新星2人を支える仕事でも、ルーニーにならば安心して任せられる。

ルーニーが中央にいると2トップも働けない。

 今季後半戦のマンUに出現したラッシュフォードも「新星」には違いないが、アリは優勝に迫ったトッテナムでシーズンを通して主力となった「超新星」。イングランドでは、創造性を備えた攻撃的MFの台頭を見る度にポール・ガスコインが引き合いに出されるが、軽快なボールタッチから圧巻のボレーシュートまで、4月で20歳になったばかりのアリは、先輩格で22歳のロス・バークリー以上に「ガスコイン再来」を予感させる。

 そのアリだが、ルーニーを頂点とするダイアモンド型の中盤の左サイドで先発したポルトガル戦では存在感を欠いた。同時に2トップも不発。ケインはシュート1本、バーディーは0本に終わっている。

 両FWの位置が深すぎたり、互いの距離が開き過ぎたりしていた理由は、相手ボール時のアウトサイドでの守備という監督の指示を忠実に実行しすぎた点にある。加えて、マイボール時には前線の形がルーニー中央の3トップ気味となり、ケインとバーディーが外に開かざるを得なかったことも否めない。

 結果としてイングランドは、ケインがアリと絡むトッテナムで見せる巧みな連係を見せることも、バーディーが執拗に最終ラインの裏を狙うレスターでの姿を見せることもなかった。

 前半の内に退場者を出した敵が守りに入ったとはいえ、終盤にFKの流れからCBのクリス・スモーリングがヘディングを決めるまで相手ゴールを脅かすことができなかった。

中盤左サイドで攻守のバランスを取る仕事。

 攻撃力というチームの長所を最大限に生かす上で適材適所を意識すれば、ルーニーは4-3-1-2システムの3センター左サイドでの先発が妥当なのではないだろうか?

 当人は、マンUで最終的に自らも納得のMF起用が増え、優勝を飾ったFAカップ決勝では中盤中央でマンオブザマッチ級のパフォーマンスを披露したばかりでもある。代表でも、同じくホジソンの信頼が厚い右サイドのジャック・ウィルシャーと攻守のバランスを意識しながら中盤の底に座るエリック・ダイアーをサポートし、チームに安定感をもたらすことができるはずだ。

【次ページ】 攻撃陣は豪華だが、守備陣はかなり不安。

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