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阿部勇樹、レスターの思い出と優勝。
「一番戸惑ったのは、名前のコール」
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/05/30 07:00
2010年の夏にレスターへ移籍し、ゴールも決めた阿部勇樹。彼の万能性はイングランドでも評価の対象だった。
レスターで驚いた練習中の洗車サービス。
――具体的には、どんな情報を?
阿部:本当に住みやすいところなんですよね。僕は食事も困らなかったし。街中には野菜とフルーツを売っている市場があって、ちょっと中に入ると肉や魚の市場もあったりする。しかもそういうお店が、一カ所に固まっているんですよ。
ロンドンに行くのも1時間かからないし、バーミンガムも近いから車で1時間くらいでいける。ノッティンガムも近いから、僕がレスターにいた最後の頃は、ノッティンガムで見つけた日本食屋さんによく行ってました。オカには、その店の話もしましたね。
――当時のレスターというクラブについて、特に印象に残ってることはありますか?
阿部:まず、あんなに民家が建っている真ん中に、練習場があるのは驚きましたね。当時はチャンピオンシップ(イングランドの2部リーグ)でしたけど、人工芝の室内練習場があったし、外にもグラウンドが何面かあって、施設もそれなりに大きかった。
あと練習場絡みで一番びっくりしたのは、僕たちが練習をやってる間に機材を積んだワゴンが来て、車を洗ってくれることかな。これはすごい! と。日本でもそういうサービスをやったら、絶対に流行ると思います(笑)。
阿部在籍時に、タイ人のオーナーに代わった。
――阿部選手が在籍していた頃は、ちょうどオーナーが現在のタイ人の方になり、レスターというクラブが大きく変わり始めた時期ですよね?
阿部:はい。加入してからちょっと経って、今のオーナーのグループに代わった感じですね。僕がレスターにいたのはちょうど1年半ぐらいですけど、その間にも施設の中が変わったり、スタジアムも変わったりしていきました。
――クラブが大きく成長するかもしれないというような予感は?
阿部:どうかなあ……。ただ、不思議な感じはしましたよね。イングランドのクラブだからイギリス人が多いんですけど、そこに、タイの人たちがスタッフとして加わるわけじゃないですか。だからコミュニケーションは大丈夫なのかなって心配はありました。
――でも結果的にはうまくいったと。
阿部:そうですね。あのクラブは、あそこから良い方向に回っていったんだと思います。