錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭はシングルスだけで良い!?
テニス選手はリオ五輪で損ばかり。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/05/25 10:30
全仏初戦でシモーネ・ボレリに勝利した錦織。降雨順延のハプニングも関係なく、順調ぶりを示した。
リオ五輪からATPポイントが付かなくなった!?
1924年のパリ大会を最後に、オリンピックと袂を分かってきたテニスが正式競技に復帰したのは'88年のソウル大会だが、男子は当時のトップ10のうちたった2人しか出場していない。
'92年のバルセロナ大会はトップ10のうち8人が出場したものの、彼らは誰も金及び銀メダルを獲得しなかった。
ちなみにそのときには錦織のコーチ、マイケル・チャンも出場したが、2回戦で敗れている。そこにはモチベーションの問題が絡むだろう。
しかし2008年にラファエル・ナダルが、2012年にはアンディ・マレーが金メダルを獲得したように、トッププレーヤーの意識が変化してきた背景には、シドニー大会からATPポイントが付与されるようになったことが大きい。
さらに、シドニー、アテネは優勝ポイントが400だったが、北京では800ポイントに膨らんでいる。
ところが、今回からまたポイントが廃止された。
メダルのため、国のために戦うというオリンピックの精神に反しているからだとか、1カ国の出場人数に制限があるためランキングが上のほうでも出場できないケースがあり、彼らが同じ時期に同等のポイントを稼げる大会が他にないことなどが「不公平」だからだとか、とにかく理由は1つではないようだ。
「グランドスラム優先」「過密スケジュール」で辞退。
そんな中、すでに若手の有望選手の辞退が相次いでいる。
トップ20内でも特に若い22歳ドミニク・ティームは「グランドスラムやマスターズのほうが大事」と5月に辞退を表明。
素行が悪いとしてナショナル・オリンピック委員会の選考委員の逆鱗に触れた23歳のバーナード・トミックも、「過密スケジュール」を主な理由としてツアーを優先する決断を発表した。