錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭はシングルスだけで良い!?
テニス選手はリオ五輪で損ばかり。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/05/25 10:30
全仏初戦でシモーネ・ボレリに勝利した錦織。降雨順延のハプニングも関係なく、順調ぶりを示した。
「メダルが狙えるならミックスダブルスにも」
錦織は少なくともオリンピックのシングルスには出場するつもりだが、協会関係者からは「メダルが狙えるならミックスダブルスにも出てもらいたい」という希望も語られているとか。
「圭君を酷使しないで」という錦織ファンの懇願の声も耳にするが、では実際に体力的、精神的負担についてのチームの考えはどうなのか。
錦織の体の〈スペシャリスト〉である中尾公一トレーナーに聞いてみた。
「協会の立場ならそう言うでしょう。メダルは欲しいんですから(笑)」
オリンピックでの成績がその競技団体への助成金につながるという背景を踏まえて理解を示した中尾トレーナーは、「でも正直なところ、そんな話は全然出てません。まだまだ先の話です。パートナーがいる話だし、エントリーしたところでミックスダブルスのボーダーはかなり高いので、入れない可能性は高い。今から考えてもしかたのないことで、8月のエントリーのときの状況次第です。今わかっていることは、シングルスには出るということだけです」と続けた。
もしミックスに出るとしたら、ペアは土居だが……。
ミックスダブルスがオリンピックに復活したのは前回のロンドン大会。
出場チームは16に絞られ、シングルスかダブルスで五輪出場資格を持つ者同士のペアがエントリーできる。その中から両者のランキングの合計で上位12チームを選び、残り4チームは国際テニス連盟(ITF)の推薦となる。
協会が想定する錦織のパートナーは、最近シングルスランキングを40位台に上げてきた土居美咲だが、確かに前回ロンドン大会の出場状況を見ると厳しいし、そもそもシングルスのトッププレーヤーはほとんどエントリーしていない。
出場したのは、地元イギリスのマレーと、当時世界ランク9位だったアルゼンチン人のファンマルティン・デルポトロのみだった。