錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭はシングルスだけで良い!?
テニス選手はリオ五輪で損ばかり。
posted2016/05/25 10:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
全仏オープンが開幕した。
錦織圭は「精神的にも体力的にも疲れがたまっていたけど、練習は軽めに、トレーニングをしっかりやって来たので、体調面は問題ないと思います。グランドスラムを戦い抜くことを目標にやっているので」と、タイトなスケジュールの中でも良好なコンディションをキープできていることをアピールし、自信も匂わせた。
今シーズンの錦織は全仏開幕前までに、昨年の同時期と同じく38試合を戦ってきた。これは昨年と同じ数だが、全仏オープンの前哨戦最後となるローマで自己最高の準決勝まで進み、その内容も前週のマドリードよりさらにレベルアップすることができたという点で、昨年にまさる。
「これまでヨーロッパは毎年ケガに近いことが起きていた」からだ。この期間に勝ち星を増やしながらもケガなく戦い抜くことは今年の課題の1つだった。
そして、「ケガなく戦い抜く」という課題を掲げるもう1つの時期が夏だ。それもやはり過去の苦い経験に基づいている。
「この2年間はシンシナティに出られていないので、今年はそこでもしっかり成績を残せるようにしたい。特に今年はオリンピックもあるので、ウィンブルドンが終わってからしっかりトレーニングとケアをしながら夏に向けての準備をするつもりです」
五輪開催年の夏のスケジュールは殺人的に!!
確かに、オリンピックイヤーの夏のスケジュールは苛酷だ。
オリンピックの2週前にはトロントでのマスターズ、オリンピックの翌週にはシンシナティのマスターズが続く。トロントの前にはデビスカップもある。日本は1回戦で負けたためここでは戦う必要がないが……。
かつてのトッププレーヤーがオリンピックを避けてきたのは無理もない。今とは多少異なるとはいえ、スケジュール上の問題に加え、テニスにはオリンピックよりも長い伝統を持つウィンブルドンや全米オープンなどのグランドスラムが年に4回もあり、そのトップで戦うプロが4年に1度しかなく賞金もポイントもつかないオリンピックに高いモチベーションは抱けなかったのも当然のことだろう。