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過去の“ブッフォン2世”とは違う!
ドンナルマはミラン唯一の希望。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2016/05/05 10:00

過去の“ブッフォン2世”とは違う!ドンナルマはミラン唯一の希望。<Number Web> photograph by AFLO

現在のミランでおそらく最も高額の移籍金がつくドンナルマだが、ベルルスコーニ会長は「売らない」と明言している。

フェイスブックでの“炎上”事件も?

 だが、“大人たち”の世界はそう甘くない。

「(ユース年代までとちがい)セリエAでプレーし始めてから、打たれるシュートの質がちがうことに気づいた。タイミングも蹴り方も全然ちがう」

 ドンナルマが抱いていた危惧は現実になった。

 辛くも3-3のドローに持ち込んだ36節フロジノーネ戦で、初めての3失点。開始2分での不用意な先制点献上の他に、セットプレーへの対応にも改善の余地が大いにあり、という課題をドンナルマはあらためて突きつけられた。

 真面目一辺倒と思われがちなドンナルマだが、現代のティーンらしく、昨年11月にはフェイスブックへの投稿が批判を受けた。ただし、インテルとアッレグリ監督を侮辱する内容だと指摘された投稿が、彼の13歳当時のものだとわかり、さらにドンナルマがすぐに非を認め、素直に謝罪すると事件はあっさり鎮火した。

ブッフォン「いい顔つきをしている」

 偉大な名手が揃うミラノOBたちは、ドンナルマの将来性に太鼓判を押す。

 ミラノ育成部門統括ディレクター職にあるフィリッポ・ガッリは「ドンナルマは100万人に一人の逸材。フィジカルはもちろん強いメンタルもある」と最大級の賛辞で称えれば、今季ブッフォンに破られるまで連続無失点記録を保持していたセバスティアーノ・ロッシもまた「ミランで素晴らしいキャリアを育むための才能はすでにある」とエールを送る。

 ドンナルマは、すぐに「ブッフォンの後継者」と呼ばれるようになった。ただし、その称号は、将来を有望視されてきた幾多の若いGKたちのキャリアを潰してきた呪いでもある。

 巨星ブッフォンは動じない。

 何せドンナルマが生まれた'99年には、当時欧州列強の一つだったパルマの正守護神としてUEFAカップとコッパイタリアの2冠を得ていた。

 今年4月上旬の対戦カードでも、38歳とは思えないミラクルセーブを連発し、同じファーストネームを持つ新たな後継者の挑戦を退けた。ただし、若手世代の成長を促すべく、周囲の忍耐と許容力を求める姿勢はミランOBの2人と同じだ。

「ドンナルマはサンシーロのような歴史と威厳に満ちたスタジアムで、ビビらずにプレーできるってことだけでも大したもんだ。いい顔つきをしている」

【次ページ】 これまでの“ブッフォン2世”と決定的に違うこと。

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