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過去の“ブッフォン2世”とは違う!
ドンナルマはミラン唯一の希望。
posted2016/05/05 10:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
今季のセリエAは、ゴールキーパーの当たり年だった。
5連覇を果たしたユベントスの主将ブッフォンが、歴代最長となる974分間連続無失点記録を樹立しただけでなく、PKを4本も止めたGKビビアーノ(サンプドリア)や地方クラブの星サッスオーロの躍進を支えたGKコンシーリなど、好パフォーマンスの守護神が続出した。
だが、とりわけ大きなインパクトを与えたのは、10代で名門ミランの正守護神となったGKドンナルマの出現だろう。
16歳8カ月だった昨秋、先発GKとしてセリエA歴代最年少デビュー。その後も名門のプレッシャーに臆することなく、堂々とゴールマウスを守り続ける。愛称は“ジージョ”だ。
1-2で敗れた35節ベローナ戦では、逆転を許すFKを試合の最後に決められるまで、ビッグセーブを連発。相手の猛攻に抗い続けた1試合10本のセーブは、今季のリーグ記録だった。
「憧れはブッフォン。目標はノイアー」と公言する17歳は、今や名門ミランの次世代を背負うシンボルなのだ。
13歳になる頃には、190cmを超えていた!
ジャンルイジ・ドンナルマは、ヴェスヴィオ火山を目の前に望む、人口6万6000人ほどの小さな町で生まれ育った。大工の父アルフォンソは187cm、母方にも190cm級の叔父が揃う高身長の家系の出だ。
5歳になった“ジージョ”は、9歳年上の兄アントニオの影響でサッカーを始めた。近所のクラブにあった土のグラウンドは、一部がモトクロスの練習場も兼ねていたから凸凹そのもので、飛び跳ねるたびに膝小僧を擦りむいたけれど、ゴールマウスを守る役割に魅入られたジージョはへっちゃらだった。
9歳のときには、U-13年代のチームでプレーしていた。実際に13歳になる頃には身長が190cmを超えていて、対戦相手から「齢をごまかしてるだろう」とクレームが来ることはしょっちゅうだった。