野球場に散らばった余談としてBACK NUMBER
「フクハラサン、元気にしてますか?」
米国で大活躍、元阪神・呉昇桓の仁義。
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byAP/AFLO
posted2016/04/22 10:40
阪神時代より球速が上がったオ・スンファン。4月21日現在、カージナルスで7試合連続無失点記録を更新中である。
福原「寂しいのはありますね」
福原は「残ってくれるものだと思っていたから、寂しいのはありますね」と残念がっていた。
韓国歴代最多の277セーブを挙げながら新天地でもたゆまず、探求心は旺盛だった。福原はスンファンのひたむきさに共感した。
「野球に対して、すごくマジメなヤツでね。とても向上心があって、何かあれば、いろいろ聞いてくる。相手打者の特徴や球の握りとかね。スライダー、カーブ……。打たれたときにね、すごくへこんでいる。そういう時に『どうすればいいですか』と配球とかを聞いてきたこともありました」
義理と友情を重んじる「ホント、いいヤツ」。
いつも等身大だ。
誰もが「ホント、いいヤツ」と声をそろえる。年下の選手にも慕われ、昨年は金田和之と岩本輝がグアムでのスンファンの自主トレに参加した。
ここで、個人的な余談をいくつか挟む。
数年前の話だ。大阪・心斎橋の韓国料理店でスンファンの関係者とスポーツ紙の記者数人で食事をする機会があったのだが、なぜか、そこにスンファンの姿があった。
「いつもお世話になっているから……」
多忙な合間を縫って、わざわざ顔を出したのだ。間もなく中座したのだが、わずかな時間でも礼節を欠かさない、その律義さに好感を持った。
昨年は鉄腕のルーツを知りたくて韓国・ソウルの実家に両親を訪ねた。
母キム・ヒョンドクさんは息子を「仲間への義理がある。人を信じます。友達を信じる気持ちが強い。信じ過ぎなくらいに……」と苦笑い。
これを聞いていたのが同席していたソン・サンさんだ。