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<遅れて来た最強投手>
田中正義「かいぶつのたまご」 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

photograph byKenta Yoshizawa

posted2016/04/22 08:00

<遅れて来た最強投手>田中正義「かいぶつのたまご」<Number Web> photograph by Kenta Yoshizawa
球界の'94年世代は大谷、藤浪だけじゃない。最速156kmの大学球界No.1右腕は、まだまだ恐るべき伸びしろを持っている。大学最後のシーズンに向けて、心境を語った。

 田中正義という逸材を初めて見たのは、彼が創価高3年生の夏、西東京大会4回戦でのことだ。

 お目当ては同校のエース・池田隆英(現・創価大4年)。当時、都内有数の本格派右腕と評されていたこの投手のピッチングが見たかった。田中正義については、大会のパンフレットで「大型の中堅手がいるなぁ」と、この程度のことだった。

 しかし、試合前のシートノックで驚いた。

 186cmの中堅手が定位置から投げた三塁送球が、ぐんぐん伸びてファールグラウンドを越え、三塁側スタンドに着弾した。

 おそろしいほどの強肩。4年経った今でもはっきり覚えているのは、投げたフォームが美しいオーバーハンドだったせいだ。

 試合が始まって、もう一度驚いた。

 4番打者として打席に入り、振り抜いた打球が見事な放物線になって左翼席中段にまで届く。さらに、ダイヤモンドを1周するランニングのしなやかさ。大きなストライドで地面をぐいぐいつかんでいく走りが、隠し持った計り知れない潜在能力の大きさをはっきりと感じさせた。

 だが結局、創価高は準決勝で日大三高に敗れた。その夏は藤浪晋太郎を擁する大阪桐蔭高が全国の頂点に立ち、以後、その「中堅手」の名前を聞くことはなかった。


「創価大学に150kmを投げるヤツがいる」

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<創刊900号特別編集>羽生世代、最強の証明。
田中正義
創価大学

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