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個人競技の水泳で、リレーは特別。
15歳・池江璃花子に五輪はどう映る?
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byAFLO
posted2016/04/07 11:30
日本水泳界にとって久々に現れた女子の「大型新人」池江璃花子。レースの前後で見せる豊かな表情も魅力の1つだ。
個人競技の水泳の中で、リレーは特別。
4年前、私は800mフリーリレーの代表を目指して日本選手権を戦っていた。
その時はまだどの選手が五輪内定を勝ち取るかが分からない状況だったので、決勝の前に「絶対オリンピックに行こう」と、上位3人の選手で手を取り合ってレースに向かったのを思い出す。
リレー競技は、4人が順番に泳ぐ。
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個人の競技力はもちろん、泳ぐ順番や引き継ぎのスタート練習など、何度も何度も繰り返し準備する必要がある。
個人練習のあとにリレーのメンバーだけが残って、引き継ぎの確認を飽きるまで確認しあったことを思い出す。タイミングが早すぎれば失格、遅ければタイムロスになってしまうからだ。
元々私は背泳ぎの選手で、リレーという水泳には珍しいチーム競技に出会ったことで、チームメイトが一緒に泳ぐ楽しさと新鮮な感覚を手に入れた。
とにかく、リレーは泳ぐ方も見る方も盛り上がる。
今回のオリンピック選考会でも、リレー種目の代表が決まるレースはとても会場が盛り上がっていた。この一体感が、チーム全体の雰囲気にとって大切なのだ。
五輪は15歳の目に、どう映っているのか。
そして、初めての五輪でリレーメンバーに入った池江選手は幸運であるといえる。
レースの楽しさを忘れずに、オリンピックを迎えられる。辛くなったら、レースを一緒に泳ぐ仲間がいる。決して、1人ではない。
今回のオリンピック選考会、池江選手のレースはあと2種目。
100m自由形、50m自由形。
15歳の池江選手はどのようなレースをしてくれるのだろうか。期待をしてしまう。
そして、まだ見ぬオリンピック。彼女の目には、どのような場所に映っているのだろう。