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個人競技の水泳で、リレーは特別。
15歳・池江璃花子に五輪はどう映る?
posted2016/04/07 11:30
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph by
AFLO
“1分57秒39” 高校新記録。
15歳のニューヒロインは、100mバタフライに続いて200m自由形で優勝し、800mフリーリレーでのオリンピック出場権を獲得した。
100mバタフライは、涙の優勝だった。
重圧から少し解放された自由形ではその時の表情から一変し、リレーメンバーの3人と笑顔で抱き合った。
泳ぐたびに記録を更新している池江璃花子選手。そんな彼女にとって、リレーで仲間と喜びを分かち合う瞬間はポジティブな方向に働くだろう。
1人だけで戦うよりも、チームで力を合わせるリレーが気分を盛り上げ、個人種目へのモチベーションとしても作用するのだ。
まだ、15歳。
オリンピック出場を決める過酷な戦いを制した者たちは、今度はチームジャパンとして世界に向かって戦っていく。
つまりこの厳しい選考はゴールではなく、ここをくぐり抜けた選手はさらに上を目指すのだ。その道のりは、プレッシャーや孤独との戦いでもある。
リレーのみならず、個人の派遣標準も狙っていった。
「この4人のメンバーでオリンピックに行きたかった」
池江選手はレース後にそう答えた。
2015年、ロシアのカザンで行われた世界選手権で入賞して五輪出場枠を獲得した時のメンバーが、池江選手、五十嵐千尋選手、持田早智選手、青木智美選手だったのだ。その絆が、今回の結果に繋がった。
もちろん池江選手も五十嵐選手も、個人の派遣標準記録である1分56秒82を狙っていたはずだ。五十嵐選手は浮き上がりから飛ばし、池江選手も50mのターンに差し掛かるあたりからスピードを上げた。
200m自由形は、順位にこだわって泳ぐと牽制しあってスローペースになり、リレーの標準記録すら危うくなる種目だ。その中で、しっかり個人の派遣標準記録を目指した泳ぎを見せたところが、ハイレベルなレースに繋がったと感じた。