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“大谷以外”で鍵になる投手は?
日ハム高梨裕稔が二軍からやってくる。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/23 10:40
オープン戦の成績は1勝1敗。3月10日の西武戦では4回を投げて1失点。6奪三振を奪うなど快投を見せた。
「二軍の、よく知らないヤツ」から一軍の有望株に。
実は筆者もこの試合を観に行ったが、当日の朝、大谷登板回避の情報を知って落胆しなかったと言えば嘘になる。
球場への直行バスが運行されるJR総武線の幕張本郷駅を埋め尽くした大勢のファンから、こんな声が聞こえてきた。
「今日、大谷じゃないらしいよ」
「え? マジで?」
「二軍の、よく知らないヤツが投げるらしい」
「逆風」の中でマウンドに上がった高梨は、経験不足をさらけ出した。いきなり先頭打者を死球で出し、制球が定まらないまま四球を出しては、足を絡めたマリーンズの攻撃に揺さぶられる。
まったくゲームを作ることができないまま、4回途中4失点で降板。敗戦投手となった。
あれから約1年、高梨は「二軍の、よく知らないヤツ」から、一軍で期待される有望株へと成長を遂げた。
北海道で「高梨」と言えば、だれもがジャンプ女王の沙羅さんを思い浮かべるだろう。だが今季、「ハムの高梨」も急速に認知されていくかもしれない。
大学では往年の名投手・高橋一三の指導を受けた。
ちなみに高梨を山梨学院大で指導したのは、1981年のリーグ制覇に貢献したファイターズの往年の名投手、故・高橋一三さん。レジェンドが鍛えた若者が鎌ケ谷で立派になって、札幌へと出荷される――。
それは東京時代を知るファンにとって、胸の熱くなる物語ではないだろうか。