熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER

どうすれば選手に心が伝わるか――。
湘南・曹監督が考える理想の指導者。 

text by

曹貴裁

曹貴裁Cho Kwi-Jae

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photograph byShonan Bellmare

posted2016/03/09 12:00

どうすれば選手に心が伝わるか――。湘南・曹監督が考える理想の指導者。<Number Web> photograph by Shonan Bellmare

豪快なダイレクト・ボレーシュートを決めた湘南のパウリーニョ。以前は川崎に所属していたこともある彼の“恩返しゴール”になった。

観客も熱狂した壮絶な展開の末、川崎とドロー。

<試合結果>

3月5日(土)J1・1stステージ第2節
湘南4-4川崎
(@等々力陸上競技場)

 1-1で迎えた38分、湘南はMF菊池大介のゴールでリードしたのも束の間、1分後に同点とされる。41分にはMFパウリーニョの豪快なボレーでリードするも、45分に再び同点に。後半、守勢に回っていた湘南は徐々に流れを押し返し、77分、DF岡本拓也が最終ラインから走り込んでネットを揺らし4-3と勝ち越し。だが試合終了間際にみたび同点とされ、勝ち点1を分け合った。

<試合を終えて>

――3月2日の日記では、指導者のあるべき姿について書かれています。何かきっかけがあったのですか。

「指導者として、常に『自分がなぜその仕事をやっているのか』に向き合うことなしに客観的な自分は作れないと考えている。何かきっかけがあったわけではなく、常に考えていることです」

――魂の宿ったメッセージを選手にどう伝えるか、思い悩んでいる記述が印象的です。川崎戦を前に、どんなメッセージをどのように伝えようとしましたか。

「前節の反省を受け、課題を直すということより、出来たことをさらに出来るようにするというマインドにさせたかった。始まったばかりのリーグで、最初から腰の引けたメッセージを出したくない。だから課題は試合の次の日、あえて月曜日のオフの前に明らかにしました。そしてオフを挟んだ明けのトレーニングからアグレッシブさを増したトレーニングに切り替えました」

――川崎戦を終えた今、改めてどんなことを感じましたか。

「エネルギーはあったと思いますが、まだまだ課題やスキが垣間見えるチーム。でもそれは同時にまだまだ成長できるという証でもある。課題を明確にしながら、勝ち点を重ねていく。勝つことに奢らず、負けたことにくよくよしない、受け入れる。この当たり前のサイクルから監督として目を背けない。このことを改めて感じています」

――4-4という点の取り合いになったゲームをどう評価していますか。

「得点の形は理想的だった一方、失ってはいけない場面でボールを失うシーンが多く目につきました。ただ、そういった経験を重ねていく中で改善されていくものだとポジティブに捉え、1試合1試合チームとして成長していこうと考えています。手応えとしては、(石川)俊輝が慣れない右サイドでもしっかり役割を果たしてくれたことで新たなバリエーションを得られたと感じています」

【次ページ】 選手は意図を良く理解し、ピッチでも表現してくれた。

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