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<新スタジアムを体感する>
市立吹田サッカースタジアムのリアル・レポート。 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/03/11 06:00

<新スタジアムを体感する>市立吹田サッカースタジアムのリアル・レポート。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

宇佐美貴史のCKも目と鼻の先! ゴール裏フェンスからゴールラインは10m、メインとバックスタンドからタッチラインは7mと、声援もダイレクトに伝わる。

鳴り物入りで初ゲームを迎えた次世代のスタジアム。国内外の“現場”を見てきた筆者が感じた、未来の手応えとは。

 無機質な灰色の砦。

 今季からガンバ大阪の本拠地となる市立吹田サッカースタジアムは、見るからに殺風景だ。だが、この砦は生きている。ガンバのサポーターで埋め尽くされたゴール裏は、躍動する青い壁のようだ。

 こけら落としとなる名古屋グランパスとの「パナソニックカップ」を観戦して、あるスタジアムを連想した。ドルトムントの本拠地ジグナル・イドゥナ・パルク。8万人を飲み込むスタンドは、荘厳な歌声とともに巨大な生物のように揺れる。あの感覚に似たものが吹田スタジアムにはあった。

 その日は名古屋戦に先立ち、ガンバのOBマッチが行なわれた。その間、私はサポーターに話を聞いて回った。その中でいちばん印象に残ったのが、このひと言だ。

「何よりもアウェーサポーターが見えるというのがいいですねえ」


【熊check!】まるでライブハウス!

 それはガンバ側ゴール裏の最上部に陣取る、ガンバひと筋、いや、松下時代から関西のサッカーを追い続けてきた63歳の男性の口からこぼれ落ちた。

 意味がよくわからなかった私に、男性が丁寧に解説する。

「万博はゴール裏が遠いし、傾斜もなかったから、アウェーサポーターがよく見えなかったんです」

 それは万博記念競技場に通い続けたサポーターの、実感に満ちた言葉だった。


 大都市圏を本拠とする強豪チームのスタジアムとして、万博は貧弱だった。陸上トラックが横たわるスタジアムは広く平面的なため、声は拡散してしまう。通い続ければ愛着も湧くとはいえ、快適ではない家が「ホーム」というのは不幸なことだ。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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