野球場に散らばった余談としてBACK NUMBER
来日3年目の阪神・ゴメスが別人に!
鉄人が主砲に伝授した4番打者の重み。
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/04 10:30
金本監督の指導を熱心に聞くゴメス。隣には現・阪神打撃コーチ補佐のトーマス・オマリーコーチの姿も。
金本監督直伝のフルスイングでアーチを描く。
宜野座キャンプ。2人は何度も打撃練習中に言葉を交わした。あるときは指揮官自ら、身ぶり手ぶりで説明する。踏み込むとき、顔の位置を後ろに保て。このジェスチャーにうなずきながら、ゴメスも構えを作って試す。金本監督は「投手寄りに顔が流れてしまっているから差し込まれたり、こすりやすい。ステップする時に顔も左足と一緒に投手方向に流れてしまう」と指摘した。
昨季は17本塁打にとどまったが、今年はシェイプアップの効果か、過去2年と比べて格段に体がキレている。ランチ特打でも柵越えを連発。明らかに飛距離は伸びており、シーズンの活躍を予感させる。
「3年目で少し余裕が出てきたかな。日本人は本当に練習をすごくする。質も量もすごいし、みんな練習に真面目に取り組んでいるよね。ドミニカ人がチームに3人いるのは楽しいし、自分が伝えられることは、できるだけ伝えたい」
今日もまた、大男が背中を丸めながら、わりと流ちょうな日本語で「スミマセン! スミマセン!」と頭を下げながら、報道陣をかき分けていく。心身ともに充実した大黒柱が、新しいタイガースにそびえ立つ。