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カーリング日本選手権、LSが初優勝。
本橋の妊娠離脱とメンバーの「自立」。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2016/02/21 10:40
吉田知那美のいるLS北見は、3月の世界選手権、11月のPACC、来年2月に開催されるアジア冬季競技大会の出場権を獲得した。
メンバーが語る吉田の存在感とは?
「いつもリーダーシップをとってチームを引っ張ってくれる。リーダー的存在です」(鈴木)
「私がお休みするときも親身に相談にのってくれて、『麻里ちゃんがいなくてもチームを引っ張って頑張ります』と言ってくれたんです。今シーズンを笑顔、ポジティブで引っ張ってくれました」(本橋)
「私がすごいミスをしても顔を変えず、文句も言わずに笑顔で受け止めてくれる。ありがたいです」(藤澤)
当の吉田知那美は、「私一人の力ではないですし、何よりも麻里ちゃんが成長する場所を作ってくれたおかげです」と本橋に感謝する。
五輪出場権はまだない。世界選手権が正念場だ。
ただ、それだけではない。
以前はついていく立場だった。でも悔しさと、その後の内省を経て、覚悟と自覚が芽生えた。きっと、カーリングに取り組む姿勢にも影響を与えた。だから今日の姿があり、チームメイトの評にもそれは表れている。
「憧れだった先輩方が今はライバルになり、戦ってもらっています。しっかり倒して、一緒に過ごしてもらった時間が無駄ではなかったことを、このチームでプレーしながら証明したいと思っています」
記者会見でこう語ったあと、吉田知那美は続けた。
「毎日が成長期なのが私たちなので、このまま自分たちで考え理解し学び、自分たちの力で一歩ずつ進んでいくカーリングをこれからも突き詰めたいです」
優勝したLS北見は、2017年の日本選手権でも優勝すれば2018年平昌五輪の日本代表に内定する。
ただ、オリンピック出場権を手にしたわけではまだない。今年と来年の世界選手権の成績などにかかっている。
「日本代表としてほかの女子カーラーの気持ちも背負い、みんなの夢であるオリンピックの出場のためにしっかり戦ってこなければいけないなと思います」
自身のためやチームのためのみならず、女子全体を背負って。
その言葉もまた、経験をたしかな糧として歩んできた吉田知那美の現在を示していた。