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カーリング日本選手権、LSが初優勝。
本橋の妊娠離脱とメンバーの「自立」。
posted2016/02/21 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
悔いを糧にして、今がある。
試合中はときにリラックスさせるような、励ますような笑顔で仲間と接しながらプレーしたサードは、優勝を手にしたあと「みんな試合に勝った負けた以外の悔しい気持ちを持って、カーリング人生をこのチームに捧げようと一生懸命頑張った結果だと思います」と涙を流した。
2月13日にカーリングの日本選手権が終わり、女子はLS(ロコ・ソラーレ)北見が優勝した。
昨年11月のパシフィック・アジア選手権で日本女子10年ぶりの優勝を果たしているLS北見は、予選リーグを7勝1敗の2位で終えると、プレーオフで北海道銀行と対戦。6-3で勝利し決勝へ進み、北海道銀行を準決勝で破った富士急を相手に序盤からゲームをコントロールし、9-5で日本一を勝ち取った。LS北見は、チーム青森でトリノ、バンクーバー五輪に出場した本橋麻里が2010年に立ち上げたチーム。6年かけての日本選手権初優勝である。この成績で来月の世界選手権、11月のパシフィック・アジア選手権、2017年2月の冬季アジア大会日本代表に決定した。
前チームから戦力外を宣告された吉田知那美
LS北見の試合で目立ったのは、密なコミュニケーションだった。それをもたらした背景の手がかりは、記者会見での本橋の言葉にあった。
「結成当時からいるのは鈴木(夕湖)、吉田ゆり(夕梨花)。6年間、いえその前からカーリングをやっている中で、悔しい思いをしながら頑張ってくれていました。吉田(知那美)と藤澤(五月)は、前回のチームで相当悔しい思いをしてこのチームに加入しました」
それぞれに悔しさを抱え、プレーしてきた。その一人、吉田姉妹の姉の知那美は、2014年に北海道銀行の一員としてソチ五輪に出場後、LS北見に加わった。
吉田知那美は記者会見で当時を振り返った。
「前のチームではカーリング界の大ベテランの先輩たちのもとで学ばせてもらって、ついていくのが正直必死な部分がありました。それがソチオリンピックで、私の技術であったりメンタル面だったりの不足が結果に現れてしまい、チームを離れなさいという宣告になったと思っています」