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最後のオールスターを見逃すな!
コービーがレブロンに伝えたいこと。
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byGetty Images
posted2016/02/10 11:00
2013年のオールスターでのコービーとレブロン。コービーのラストシーズンで、“キング”の「三度目の正直」は実現するか?
ジョーダンが最後にコービーに託したものとは?
メディアは、コービーが主役となるであろう今年のオールスターについて、どんなセレモニーを行うのか? スピーチはあるのか? などお祭り要素に注目していますが、本人は「最後だからといって、相手の選手には手を抜いて欲しくない」とコメントしました。
このコメントにこそ彼のバスケットボールに対する想いが詰まっています。
NBAファンなら、コービーの長年憧れてきた存在が「神様 マイケル・ジョーダン」であることはよくご存知のはず。2003年、マイケルは自分にとって最後のオールスター戦でコービーに、「最後だからといって、手を抜いたディフェンスをしないで、レギュラーシーズンと同じ気持ちでプレーしてくれ」と伝えていました。もちろん、コービーは一切手を抜かずにプレー。試合もダブルオーバータイムまで東西でもつれる展開となり、非常に見応えあるものになりました。では、マイケルから伝承されたその競争意識の高さをコービーが次に継承するべきは、誰なのか――。
それは間違いなく“キング”レブロン・ジェームズでしょう。
レブロンにチャンスを与えたコービーだったが……。
実はコービーとレブロンの間には、これまでオールスターを通じての経緯があります。
2012年のオーランドで開催されたオールスターでのこと。MVPやオールスター選出など、個人で獲れるタイトルはほぼ手中に収めていても、まだNBA王者にはなっていなかったレブロン。まだ世間からの“大事な時に決定力不足”という評価がついて回っていました。そんな中、オールスターの終盤、競り合いで迎えた残り16秒、ボールはレブロンの手に。そのとき、「自分が守る」とあえてレブロンを選んでディフェンスにいったのがコービー。
これこそが全ファンが待ち望む最高の場面でした。
コービーは“大事な時に決定力不足”と言われていたレブロンに、「一対一を仕掛けて勝負してこい!」と挑発したのです。
しかしこの局面でレブロンが選んだ選択は“パス”でした。
残り6秒でこぼれ球が再びレブロンに回ってきた最後のチャンスでも“パス”。この選択をしたレブロンに、コービーは明らかにガッカリした表情を見せました。先輩として次世代のスターに伝えたかった“立ち向かって、結果を恐れない競争心”は、レブロンにはその時伝わらなかったのです。