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“あの時”のブーイングが、万雷の拍手に。
ミラノ・ダービーは本田圭佑のために。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2016/02/01 12:20

“あの時”のブーイングが、万雷の拍手に。ミラノ・ダービーは本田圭佑のために。<Number Web> photograph by AFLO

芝生の色がくっきりと残るユニフォームこそが、本田圭佑の献身の証なのだ。

インテル守備陣の最大の警戒を受けても――。

 そして、ミランの攻撃も10番を軸に回っていた。

 後半開始20秒で相手のペナルティエリアへ攻め込んだ本田は、殺気立ったインテルDFムリージョに吹っ飛ばされた。その夜、インテル守備陣が最も警戒しなければならない男は本田だった。

 追うインテルに、受けて立つミラン。ダービーはヒートアップした。

 50分に、ミランGKドンナルマとFWエデルの接触プレーを巡って、判定に不服を述べたマンチーニが退場する事態に。

 ダンディで知られるはずの指揮官が、ロッカールームへ引き上げる際に客席のミラニスタたちの煽りに逆上。中指を突き立てて応戦したところ、その姿がスマホでしっかり撮られ、ツイッター上ですぐに拡散。マンチーニは、試合終了を待たずして醜態を晒す羽目になった。

まさかの3失点に、インテルは戦意喪失。

 本田は、後半に右サイドのトライアングルを組む相手を、MFモントリーボとFWニアンに変え、62分にはFWニアンを操って鋭いカウンターを仕掛ける。

 抗うインテルは、64分にエースFWイカルディを投入。しかし、イカルディは70分に得たPKを右ポストに当てて、同点のチャンスをふいにしてしまう。

 エースがPKを失敗し、指揮官もベンチにいないインテルは攻守の座標を失った。

 逆にミランは、73分のFWニアンの右クロスに飛びこんだFWバッカが追加点を、その4分後にはFWニアンが一度は弾かれたシュートを再び冷静に押し込み、ダメ押しとなる3点目を奪った。

 まさかの3失点にGKハンダノビッチは首をふり、シーズンの前半戦に難攻不落を誇ったDF陣の目は虚ろだった。

 もはや戦意の失せたインテル守備陣を、本田はなおも翻弄した。83分にドリブルでPA内に切り込むと、初めて自らシュートを放つ。シュートはDFミランダの肩にブロックされたが、ミランがボールを持って攻めるとき、チーム全体の意思統一がなされていて、その中心に本田がいたのは明らかだった。

【次ページ】 スタンディング・オベーションにもクールな表情。

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