セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
“あの時”のブーイングが、万雷の拍手に。
ミラノ・ダービーは本田圭佑のために。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/02/01 12:20
芝生の色がくっきりと残るユニフォームこそが、本田圭佑の献身の証なのだ。
ボバン「今夜の本田を褒めないわけにはいかない」
冒頭に挙げたインタビューの中で、本田は語っていた。
「自分は一対一に強いプレーヤーではない。ドリブルで相手を抜けるわけでもないし、スピードでマークを置き去りにできるウインガーでもない。ただし、自分はチームのためにプレーする」
そして、ミランの再建には日本流の「ガマン」がきっと役に立つ、と訴えていた。本田の忍耐は、ダービーの夜にも、確かに実を結んだ。
「本田こそ、今夜のベストプレーヤーだった」と述べたのは、辛口で知られるイタリアSKY解説者のボバンだった。
ミランOBかつ背番号10の先達であるボバンは、試合後のレビュー番組で「ミランの中盤は全員が素晴らしいプレーをした。だが、本田はボールを受けてキープし、サイドから展開してゴールへのアシストを担った。なおかつ守りにも尽力した。今夜の本田を褒めないわけにはいかない」と語り、後継者の働きぶりを認めるに至った。
本田とミランは、ダービーという大一番で満点解答を出した。
一度はスクデットレースの先頭を走っていた強豪インテルを相手に完勝を収めたことで、今後本格化するシーズンの後半戦に向け、彼らが得た自信は計り知れない。
順位は変わらず、勝ち点38で5位につけるローマとの差も2のままだが、3位フィオレンティーナとの差は6に縮まった。シーズンのターゲットを上方修正するときだ。
CLへの道は開かれた。
水曜には、アウェーのパレルモ戦が待っている。ダービーの勝利は、一晩寝れば過去のものだ。
本田は休みなく走り続ける。