復活を期す、6年目のドラ1右腕。

　一方の今村は昨季、復帰への足掛かりをつかんだ。21試合に登板。防御率は3.46だった。投球に本来の切れが戻りつつあったが、首脳陣の信頼を勝ち取るまでには至らず。一軍に帯同しながら登板機会は限られた。

　それでも今村の「経験」は垣間見えた。後輩の中崎や戸田だけでなく、同学年の大瀬良の重圧を取ろうとアドバイスし、緊張や重圧をほぐすなど陰で支えた。

投手陣に好影響を及ぼす今村の経験値。

　中崎が「いろいろと気にかけてもらっている」と言えば、大瀬良も「あまり多くを語らないですけど、猛にはいろいろ聞いたりしています」と話していた。

　一見おとなしく、クールな印象を受ける右腕だが、実は後輩思いで周囲を冷静に見渡せる広い視野を持つ。チームの中で自分ができることをやる。それが今村の強みでもある。今季は表舞台での活躍にも期待したい。

　この時期、12球団のファンは平等に夢を見ることができる。新人や新外国人など未知の新戦力には特に期待ばかりが膨らむもの。だが、経験の穴は新戦力では埋められない。

　酸いも甘いも知る中田と今村の復活は、チームの地力となって表れるはずだ。