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阿部勇樹が天皇杯後に語った「規律」。
浦和に必要な、短所と向き合う勇気。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byToshiya Kondo
posted2016/01/15 10:30
生え抜きではないが、浦和サポーターの阿部勇樹への支持は絶大だ。それは彼が見せてきた戦う姿勢と無関係ではないはずだ。
2015年の浦和が弱かったわけではないが……。
2015年シーズンの浦和レッズは、決して弱かったわけではない。
1stステージで優勝すると、2ndステージで足踏みがあり4位と順位を落としたが、年間順位では1位サンフレッチェ広島と勝ち点差はわずか2点の2位。1点差ゲームでの勝利も増え、内容が悪くても勝てる試合も増えた。
「(チームは)一歩ずつ進んでいるとは思うけど、さらに良くするためにはこの間も言ったけれど、タイトルが必要だった。でも、それを獲るためにはまだまだ必要なことがあるんじゃないかということ。
ただ、これまでやってきたことは無駄ではないし、それがあるから今の浦和レッズがある。だからブレちゃいけないとも思う。素晴らしい結果が得られなくて、大勢の方になかなか喜んでもらえていない。でも、やってきていることを続けていくしかない。そのなかで足りない部分を上げていく。これを意識していないと勝てるチームにはなっていけない。ゲーム中で我慢すべき時間があって、そういうところも年々良くなってはいると思うけれど、もっともっとということ。
僕らには足りないことがある。決勝へ出たけど、浦和レッズという名は歴史に残らないから。こういう悔しい想いはもう何回もしている。だけど、バラバラにならずに戦ってきた。新年早々、笑ってサポーターに挨拶できなかった。最高の始まりにできなかったけど、僕らはここから上へあがっていくしかない」
「1年後、みんなが喜んでくれる年にしたい」
“足りないことを伸ばす”、日々そんな思いのなかで、戦ってきたに違いない。元日に初めて気づいたわけではない。しかし、それでもまだ、足りないと“厳しい現実”が告げているのだ。
「1年後、浦和に関わる人がみんな喜んでくれる1年にしたい。それは、何かを獲っているということだからね。
それだけを意識してやっていきたい。それくらい責任があるんだということを自覚しながら、“さらに”やっていかなくちゃいけない。下を向いている場合でもないし、年齢でもない。なんとかチームを勝たせられるようにしていきたい」