“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
今大会は“高橋壱晟の大会”になる!?
青森山田のスーパー2年生、覚醒。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/01/07 12:00
富山第一との準々決勝でゴールを決めた直後の高橋(右)。今大会4得点目となり、得点ランキング2位で得点王も視野に。
ついに自ら殻を破った高橋のプレー。
神谷がボールを受けた頃には、点を取るために自分が入るべきポジションを全力疾走の中で見出しつつあった高橋。そして、神谷のヒールから北城にボールが渡った瞬間――富山第一DF陣の目が自分から外れ、ボールに行った瞬間を高橋は見逃さなかった。
「ここだ!」
高橋はある一点を目指して猛然とダッシュ。北城のクロスが放り込まれると、ファーで待ち構えていた2人の味方の前に強引に割って入るように飛び込み、高い打点のヘッドをゴールに突き刺した。
「神谷さんに展開してから、絶対に『俺が決める!』という気持ちで、スピードを上げて、ファーに飛び込みました」
チームを埼玉スタジアムに導く決勝弾は、高橋が自らの殻を突き破った証明でもあった。
上級生としての高橋は、どう成長するのか。
己を知り、成長という名のアクセルをしっかりと踏み込み続けた高橋壱晟。
この大会が終われば、今度はスピードに乗った自分をコントロールしていく段階に入る。
来年度は3年生。自分が周りを支えないといけない。上級生としてチームを牽引する経験が、また彼を大きく成長させるはずだ。高校サッカーが生み出すこの輪廻が、柴崎岳のような偉大な先輩を生み出してきたのである。
まずは「自分を変える大会」を最高の形で締めくくるべく、彼は埼玉スタジアムのピッチを踏みしめる。